記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/6/15
記事監修医師
前田 裕斗 先生
便秘は非常に一般的な症状ですが、一般的だからこそ、便秘が習慣化したり、お腹の張りが毎日続いてツラかったりしても、病院に行くべきか迷ってしまう人は多いようです。
ということで今回は、そんな便秘でお悩みの方に向けて、病院に行くかどうかの基準や病院で受けられる措置についてご紹介します。
基本的には病院に行かなくても、食事や生活習慣を改善すれば、ほとんどの場合便秘は自分で治すことができます。食物繊維の摂取量を増やし、水分を多くとり、たくさん運動してみてください。もしそれでも効果が得られなかったり、便秘が続いたりした場合は、病院にいきましょう。また、子供が激しい便秘になっていると思われる場合も、病院に連れていってください。
病院ではまず便秘かどうかの診断を行い、その後は適宜検査、治療という流れになります。詳しくは下記を参考にしてください。
病院で便秘の診断をする際は、基本的に問診で症状や病歴を尋ね、便秘かどうか診断していきます。
問診では主に排便習慣についての質問があります(病院や医師によっては、食事や運動量、最近の日常生活の変化などの質問がある場合もあります)。
問診の結果、下記に該当する場合は便秘と診断されます。
・排便するのが1週間に3回未満である
・排便時に力む必要があることが多い
・硬くてころころとした便が出ることが多い
先述のとおり、便秘の診断方法は主に問診であり、一般的にはわざわざ検査を行うことはありません。しかし重度の便秘の場合、病院では検査を行うことがあります。
病院で行われる可能性のある検査には、下記のようなものがあります。
宿便(乾燥した硬い便が直腸に集まっている状態)があると思われる場合、直腸検査を行う可能性があります。
典型的な検査は横たわった状態で始まり、医師は腹部を触ります。片側を向いて横になった後、医師は潤滑剤を塗った手袋をはめた指で直腸検査を行います。医師は固まっている便の溜まり具合を把握します。
直腸検査を、子供に実施することは滅多にありません。子供の便秘の場合は、通常腹部の触診が行われます。
重度の便秘の場合、病院にて血液検査や甲状腺検査といった追加の検査を行うことがあります。これらの検査を行うことで、ほかの病気の可能性を検証していきます。
腹部の内部画像を撮るため、病院では腹部X線検査が行われることがあります。腹部X線検査とは、X線で見える特別なカプセルを服用し、カプセルが消化器の中を通過するのにどのくらい時間がかかるのかを調べ、便秘の重症度を診断する検査です。
肛門直腸内圧測定では、一方に風船をつけた小さな装置を直腸に挿入し、機械を取り付けます。この機械は風船からの圧力を測定するためのもので、直腸筋肉を圧迫したり、ゆるめたり、押したりします。これにより、直腸内およびその周囲の筋肉、神経がどれくらいうまく機能しているかがわかります。
大腸がんのリスクを排除するため、CTスキャンや大腸内視鏡検査といった検査を実施する病院もあります。
生活習慣の改善などのセルフケアを行っても便秘が改善しない場合、病院では緩下剤(経口の下剤)が処方されることがあります。基本的に下剤を飲めば便秘は解消されることがほとんどですが、定期的な排便パターンが再び定着するまでには数ヵ月かかることもあります。
多くの人を悩ませる便秘。「たかが便秘で病院なんて…」と遠慮してしまう方もかなり多いようですが、「されど便秘」です。重症化してくると生活の質が著しく低下してしまうこともあるので、セルフケアでも改善しない場合は、恥ずかしがらずに病院を受診してくださいね。