記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
大腸菌の多くは無害ですが、中にはO157 など病気の原因になるものもいます。そして、大腸菌は膀胱炎の主要な原因の一つでもあります。この記事では膀胱炎の原因としての大腸菌をとりあげ、侵入経路や膀胱炎の予防法に関してご紹介していきます。
膀胱炎は尿道、膀胱、尿管、腎臓などからなる尿路系に細菌が入り込むことで起こる感染症です。通常、尿路に侵入する細菌は、症状が起きる前に尿と一緒に体の外へ素早く排出されます。そのため、体に害を与えることはありません。しかし、時々細菌が身体の自然免疫能力に打ち勝ってしまうことがあり、そのときに感染症となってしまうのです。
その膀胱炎の原因となる細菌として代表的なものは大腸菌です。大腸菌は、通常ヒトや動物の腸内にいるバクテリアで、ほとんどの大腸菌は無害で、実際には健康な人の腸管の重要な一部となっています。ですが、大腸菌の中には病気を引き起こすものもおり、それらが尿道に侵入することで膀胱炎を引き起こします。
大腸菌の多くは便などともに腸からきます。尿道は直腸の近くに位置するので、これらの細菌は簡単に尿道にやってきてしまうのです。そのため、バクテリアの侵入を避けるためトイレに行ったときは(後ろから前ではなく)前から後ろに拭くようにしましょう。
膀胱炎の原因となる細菌が尿道に侵入し、膀胱炎になるのを防ぐため対処法をご紹介していきます。
水分をたくさん取ることで、細菌が外に流れやすくなります。
頻繁に排尿するように心がけ、尿意をもよおしたらなるべくすぐにトイレに行きましょう。尿が膀胱に長時間とどまると、細菌が繁殖してしまう恐れがあります。性行為の後は、女性も男性もすぐに排尿し、性行為中に尿道に侵入した可能性のある細菌を排出しましょう。コップ一杯の水を飲むことでも、細菌を排出しやすくします。
尿道の周辺を乾燥した状態に保つために、綿製などの身体を締め付けない下着を履くようにしましょう。また、スキニーフィットのジーンズや、ナイロンの下着は、湿気を閉じ込め、細菌が繁殖しやすい環境を作ってしまいます。
女性の場合、ペッサリーや殺精子剤を避妊に使うことで、細菌が増殖し、膀胱炎を引き起こすことがあります。膀胱炎を抱えている女性は、ほかの避妊方法を検討しましょう。
大腸菌は腸からやってきて尿道に侵入し膀胱炎を引き起こす原因になります。ですが、大腸菌の多くは無害で病気を引きを起こすわけではありません。私たちが普段から予防策を行うことで膀胱炎のリスクは減らすことができます。この記事を参考に膀胱炎の予防を始めてみましょう。