記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/5/22 記事改定日: 2018/5/18
記事改定回数:1回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
前回の記事では、食中毒の症状や家でできる対処法や治療法などに触れました。今回の記事では、病院に行くときに必要なことについて、まとめてあります。
食中毒症状を起こした場合、医師の診察を受けるタイミングや、診察を受けるときの準備など、参考にしてください。
食中毒とは、有害なバクテリア、ウイルス、化学物質を含む食べ物や飲み物によって、胃腸に炎症や感染が起こることです。
誰でも食中毒にかかる可能性がありますが、乳幼児や子供、妊婦と胎児、高齢者、免疫系の弱い人などは食中毒になる可能性が高いので、気をつけないといけません。
食中毒の症状はその原因にもよりさまざまですが、症状は数時間から1週間ぐらい続くことが一般的です。食中毒の代表的な症状は以下の通りです。
これらの症状のうち、発熱や血便がある場合や、数日たっても症状が軽くならない場合、1日に10回以上下痢がある場合は、すぐに病院へいきましょう。
嘔吐や下痢で失った水分を補給するために、十分な水分を摂らない場合は、脱水症状になります。脱水症状が起きた状態とは、体は十分に水分と電解質(ナトリウム、カリウム、塩化物など塩の中に含まれるミネラル)が足りていないことでなり、体が適切に機能しなくなります。赤ちゃん、子供、高齢者、免疫系の弱い人は脱水症状になるリスクが大きいので気をつけましょう。
脱水症状の兆候は
です。
また、赤ちゃんや子供は以下の兆候にも注意しましょう。
深刻な脱水症状の場合は、点滴や入院が必要な場合がありますので、不安がある場合はすぐに病院へ行きましょう。
食中毒になったときには、病院を受診して適切な治療を受けることも大切ですが、基本的には水分をしっかり摂って、下痢や腹痛、嘔吐などの症状が治まるのを待つしかありません。
下痢や嘔吐、発熱などは体に必要な水分が失われる状態となりますので、失った分だけ水分を補給する必要があります。ただし、吐き気がひどく、水分を摂れない場合や重度な下痢や嘔吐で水分摂取が間に合わない場合には、点滴での水分補給が必要になりますので病院を受診しましょう。
また、下痢がある場合に市販の下痢止めを飲む人も多いようですが、食中毒では原因となるウイルスや細菌を便と共に体外へ排出する必要があり、下痢止めを飲むと治りが遅くなるだけでなく、ウイルスや細菌が排出する毒素が長く体内に留まって重篤な合併症を引き起こすことがあります。自己判断での服用は控えましょう。
赤ちゃんや子供は成人よりも体の抵抗力が弱く、成人より少ないウイルス量や菌量でも食中毒を起こしやすい傾向にあります。このため、赤ちゃんや子供が口にする食事はできるだけ生食を避け、特に肉類や魚類、卵などはしっかり火を通すようにしましょう。また、食器類に付着した病原体によって食中毒が引き起こされることもあるので、洗浄や消毒は徹底して行うことが大切です。
万が一、食中毒になってしまった場合には、赤ちゃんや子供は容易に脱水状態となるため、下痢や嘔吐の量、水分摂取量、機嫌などをよく観察し、脱水状態が疑われる場合には早めに病院を受診するようにしましょう。特に赤ちゃんは、つらさを訴えることができないため、慎重な観察が必要です。赤ちゃんが脱水状態になると、大泉門の陥没がみられますが、このサインが見られた場合には要注意です。
食中毒は、赤ちゃんや子供、高齢者のリスクが高いので、特に注意が必要です。体力がない場合、重体になってしまう可能性があります。赤ちゃんが子供が食中毒になったと思ったら、スグに医師の診察を受けさせましょう。