バレリーナ・飯島 望未さんのメンタルマネジメントQ&A ③

2017/6/5

現在バレリーナとして活躍中であり、今年7月に米・ヒューストンバレエ団へ復帰予定の飯島望未さん。
若干15歳にしてヒューストンバレエ団に入団し、言葉の壁・怪我の経験等様々な困難をご自身の力で乗り越えます。
今回は、そんな飯島さん独自のメンタルコントロール法について、ご自身の経験踏まえたお話を3シリーズに分けてお届けします!
シリーズ第3弾。

入団時に抱えた葛藤

−飯島さんがチューリッヒ・バレエ団を退団された背景には心情や環境の変化があったのでしょうか?

はい。チューリッヒを辞めた理由は2つあります。
1つはコンテンポラリーバレエをしたいと思ったこと。
もう1つはチューリッヒ時代の監督とスタイルがずれていたからです。私はチューリッヒでバレエを学びたいから入団したものの、当団からは私のスタイルは求められなかったんです。

−それでもバレエをやめようとは思わなかった?

それはないですね。というかそれしかないので。自分には。

−踊れるのに役がもらえなくて踊れない方が、怪我して踊れないより精神的にきついですか?

やはり認められないのは・・。

チューリッヒ時代で、オーディションの時はすごく気に入られたのに、入団した途端「あれ?違う人と勘違いしてるのかな〜?」と思ってしまったくらい監督の私への対応に変化があった時は、正直きつかったですね(笑)。
最初は監督に試されてるのかと思って他のダンサーをみて見よう見まねで踊ろうとしたり、自分なりに試行錯誤して監督の求めるスタイルになるよう頑張ろうとしました。
でも続けるうちに、自分の個性を消してまでスタイルを監督に合わせるのはどうなのかなと思うようになってきて・・・。

ヒューストンには私の個性を消さない監督がいるので、自分らしく踊ることができていてとても幸せです。

−飯島さんの個性といえば、インスタグラムではファッションからバレエ風景まで、おしゃれな写真がたくさんアップされていていつも見惚れてしまっています。フォロワー数もすごいですよね。たしか少し前まで髪が銀色だった気がするんですが、黒髪に戻したんですね。

バレリーナで髪が銀色って珍しいですよね(笑)。チューリッヒ・バレエ団に入団する前1年は、日本でフリーで踊っていたので、髪型も好きなようにしていました。

カンパニーの意向で髪は基本的にナチュラルでと言われまして。
バレリーナは、結構髪を切るのも染めるのもカンパニーの許可が必要なんです。私は入団当時ベリーショートだったんですが、カンパニーに髪をのばしてと言われたので今はのばしてます。
また、ヒューストン・バレエ団では髪もメイクも自分でセットするんですが、チューリッヒ・バレエ団では髪はヘアドレッサーにセットしてもらいます。
カンパニーによっては髪もメイクも統一しないといけないので、プロの方にセットしてもらうところがあるんです。自分でセットしてはいけないという契約もあったりして。

日本と海外のバレエ

−日本と海外の舞台では雰囲気は違いますか?

全然違いますよ。
個人的には、海外のお客さんの方が反応がダイレクトに返ってくるので嬉しいですね。もちろん日本の方も拍手喝采してくれたりで嬉しいんですが、海外の歓声ボリュームはやっぱりすごいですよ。お客さん自身が「良い演技だった!」と感じれば人目を気にせずスタンディングオベーションしてくれたりしますしね。素直な反応はいつもとても心に残ります。

−横浜での公演が終わられたらヒューストンに戻られるんですよね。

そうですね。またヒューストンで踊ることができるので今から楽しみです。

−最後に。飯島さんはこれからもずっとバレリーナとしてバレエを続けるのですか?

バレリーナは平均40歳前後で引退する方が多いのですが、自分のメンテナンスをしっかりしている方は50歳を過ぎても踊っている方がいらっしゃいます。私も純粋にバレエが大好きなので、踊れなくなるまで踊り続けたいと思っています。なるべく怪我しないように。

おわりに

心の葛藤や様々な壁にも、周囲を洞察しながらもぶれない自分の軸をもって
着実に乗り越えてきた飯島さん。

お会いしたときは透明感がありピュアな印象をうけましたが、取材を続けるうちに、
内に秘めているものの熱さや自身のペースを守りきる堅い信念を感じました。
飯島さんの今後の活躍に、目が離せません!

【プロフィール】
飯島 望未
大阪府出身。1991年生まれ。姿勢を改善するためにお母様がバレエ教室に連れて行ったことをきっかけに6歳からバレエを始める。13歳のときにNYで開催された「ユース・アメリカ・グランプリ」で3位に入賞。15歳で渡米し、翌年には米ヒューストン・バレエ団とプロ契約を果たす。2014年、同バレエ団のソリストに昇格。2015年、同バレエ団を退団後に一時帰国しフリーとして活動を続けた後、2016年8月よりスイスのチューリッヒ・バレエ団で活躍される。その後の様々な活動において、ヒューストン・バレエ団が自身と一番合っていることを再確認。2017年7月ヒューストン・バレエ団へ復帰予定。自身のインスタグラムでは煌めくファッションセンスも話題を呼んでおり、今後のさらなる活躍が期待されている。

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