乳がんは遺伝する?発症リスクが高い人とは?

2017/1/30

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

2年に1回の検診が推奨される「乳がん」。
ただ、「乳がん」という名前は聞き慣れていても、
「遺伝性なの?それとも誰でも発症するの?」
など、どんな人に発症リスクが高いのかを知らない人も多いはず。
そんな人にぜひ読んでいただきたい記事です。

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乳がんのリスクが高いのはどんな人?

乳がんには遺伝子が関連しています。
「BRCA1」「BRCA2」「TP53」「PALB2」「PTEN」は、乳がんに関連しているといわれている主要な遺伝子なのですが、実はすべての人がこの遺伝子を持っています。
これらの遺伝子の突然変異を起こし、欠陥遺伝子になることで乳がんのリスクが高まることがあります。

もちろん、欠陥遺伝子を持っていなくても、乳がんになる可能性はあります。
乳がんは一般的な病気ですから、誰でもかかる可能性はあります。

欠陥遺伝子があると乳がんになる?

欠陥遺伝子をもっていると必ず乳がんになるというわけではありません。
ただ、もっていない人と比べるとリスクは高くなります。乳がんにつながる恐れのある遺伝子に欠陥がある場合、乳がん発症率は40%~85%高くなります。
つまり、欠陥遺伝子をもつ女性100人のうち、40人~85人が生きているうちに乳がんにかかる可能性があるということです。

欠陥遺伝子の検査を受ける必要があるのはどんな人?

乳がんと診断された人や、乳がんになったことのある人が家族にいる場合、欠陥遺伝子がないかどうか血液検査が行う必要があります。
検査が陽性の場合、もう一方の乳房も乳がんになるリスクが高くなります。

<母親や姉妹に陽性の結果が出た場合>
あなたも同じ欠陥遺伝子を保有するかどうか、検査で確認を行えます。

<家族が陽性ではなかった場合>
家族の病歴(※)によっては、あなたも検査を受けることができます。

※家族が若い頃(50歳未満)に乳がんを発症したかどうかなどが基準となります。
たとえば、30代で3人発症した場合、もしくは40代で4人が家族内で発症した場合は、未発症の人も遺伝子検査を行うことができます。

欠陥遺伝子を持っているけれど、乳がんを発症していない場合は?

欠陥遺伝子をもっている場合、乳がんを発症するリスクが高くなります。
年齢と予想されるリスクに応じて、マンモグラフィーかMRI検査もしくは両方の実施が推奨されます。
また、栄養バランスのとれた食事や定期的な運動など基本的な健康法でも、発症リスクを抑えられると考えられています。

ただ、発症リスクを50%以下に抑えるのは難しいため、乳がんが発症する前に乳房の摘出手術に踏み切る女性も多くいます。一般的な手術なので、検討する場合は医師に相談してリスクなどを尋ねてください。もし女性が両乳房切除手術(両方の乳房を切除すること)を受けた場合は、乳がんが発症しない確率を90%~95%まで高めることができるそうです。

乳がん発症のリスクが心配な場合は?

家族の中で乳がんを経験した女性が2~3人いて、自分も発症するリスクがあるのではないかと心配している場合は、医師に相談してください。
発症のリスクが高いと判断された場合は乳がんクリニックを、家族の中で遺伝子検査を受けて陽性だった人がいる場合は遺伝子クリニックを、それぞれ紹介してくれるでしょう。

おわりに

乳がんは、どんな人でもかかる可能性のある病気です。ただ、家族の中に乳がん経験者がいる人は発症リスクが高い可能性があるので、事前に遺伝子検査することをおすすめします。遺伝子検査の詳しい方法や申し込みについては、専門医に相談してみてくださいね。

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