記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/1/20
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
寒い冬がやってくると、病院の待合室はマスクをした人でいっぱいです。
季節によってみられる病気はいろいろありますが、ここでは冬季特有の病気を紹介します。
風邪は、定期的にうがいや手洗いをすることで予防できます。
ウイルスは、電気のスイッチやドアノブのようにたくさんの人が触れる面に多く存在しますので手洗いをすることで、手に付着したウイルスを殺菌できます。
風邪をひいた場合は、布のハンカチではなく毎度捨てられるティッシュを用いましょう。
ハンカチの場合は、使う度に手を繰り返し感染させることになります。
冬の喉の痛みのほとんどは、ウイルス感染が原因です。
気温の変化(たとえば、暖かい部屋から寒い外気に曝される)が喉の痛みをもたらします。喉の痛みを感じたら、うがいをすることです。うがいは、感染を防ぐわけではありませんが、痛みを和らげます。
うがいは、小さじ1杯の塩を白湯に溶かすと効果的です。
インフルエンザは、風邪と同じように発熱、悪寒、頭痛、筋肉痛、咳、喉の痛みがありますが、症状は突然起こり、38℃以上の発熱が続きます。
インフルエンザウイルスの感染力はより強度で、合併症を発症することもあります。特に、高齢者や乳児では注意が必要です。インフルエンザワクチンを接種することで重症にならずにすみます。
咳(せき)や痰(たん)、呼吸困難などの喘息発作は、空気が冷たくなる冬に多く発症します。
冷たい空気を吸い込むことで、気管を刺激することがわかっています。喘息をもっている人は、冬季は特に注意が必要です。
ノロウイルスは非常に高い感染力をもち、嘔吐や下痢といった食中毒症状を起こします。
一年を通して感染の可能性はありますが、特に冬季のノロウイルス感染症は感染性胃腸炎を起こします。症状は数日でおさまりますが、感染力が弱まるまで学校や仕事は休むべきでしょう。
嘔吐や下痢などの症状があるときは、水分を多く摂取して脱水症にならないようにすることが重要です。特に、幼児や高齢者は脱水症の危険性が高くなります。市販の経口補水液が便利です。
冬になると関節痛があらわれたり、悪化することがありますが、この原因ははっきりしていません。寒くなると関節の痛みや硬直で生活動作が困難になる人は多くみられます。
ウォーキングや水泳などで毎日運動をする習慣をつけましょう。特に水泳または水中ウォーキングは、関節への負担が少ないので理想的な運動といえるでしょう。
寒い冬は、どうしても家のなかに閉じこもりがちになります。行動範囲が狭まると免疫力も低下します。
いちばんの予防法は、日ごろから寒さに負けず活動的になることかもしれません。もちろん、症状がでたときは早めに医師の診察を受けることも大切ですけどね。