記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/6/2 記事改定日: 2018/7/10
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
記事監修医師
東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック
二宮 英樹 先生
大腸がんの原因にはいったいどんなものがあるのでしょうか。また、原因を避けることで予防することはできるのでしょうか。
この記事では、大腸がんの原因と予防方法について、基礎知識も交えて説明していきます。検査を受けるべきタイミングも紹介しているので、早期発見に役立ててください。
そもそも大腸がんと呼ばれるものには、結腸がんと直腸がんがあり、前者は結腸の、後者は直腸(肛門に最も近い大腸の一部)のがんです。
また、大腸がんで命を落とすのは、多くの場合、発見が遅すぎて効果的な治療ができなかった場合であり、早期に発見されれば通常は治療可能。生命を脅かすものではありません。
大腸がんは、近年日本で患者数が増加しているがんです。元来、日本では欧米諸国に比べて大腸がんの発症率は低い傾向にありましたが、食の欧米化などが進んだことで大腸がん患者が増加していると考えられています。
このように、大腸がんの発症には生活習慣が大きく関わっているのです。
まず、大腸がん発症のリスクとして、野菜や果物の摂取不足、高脂肪食、飲酒などが挙げられます。これらは大腸の粘膜にダメージを与えるだけでなく、結果として便秘を引き起こし、それがさらに大腸の粘膜に負担をかけることでがんを発症する危険が高まるのです。
また、大腸がんは遺伝の関与も指摘されており、親や兄弟が大腸がんになったことがある人は自身も大腸がんを発症しやすいといわれています。
大腸がんを予防するには、野菜や果物を十分に摂ったバランスの良い食事を心がけ、適度な飲酒や運動習慣を身に付けることが大切です。また、長引く便秘は大腸がんの発症リスクを上げますので、適切な排便習慣を身につけるようにしましょう。
大腸がんは万が一発症したとしても、早期であれば内視鏡でがんを切除することができ、高い生存率が期待できます。このため、45歳頃を過ぎたら、大腸がん検診を定期的に受けるようにしましょう。
一般的に大腸がんは高齢者の発症が多く、主に50歳以上の人が検査を受けます。
ただし、若年時に発症するリスクを持つ人もいるため、次の場合には、たとえ若くても検査が必要です。もし、これらに当てはまるようなら、大腸がんのリスクを持たない人よりも頻繁に検査を受ける必要があります。
ほとんどの大腸がんはポリープとして始まり、結腸壁の小さく、無害な良性腫瘍です。しかし、それが大きくなるにしたがって、がんに変異する可能性が高くなっていきます。
以下の兆候がある場合は、医師に相談しましょう。
大腸がんの治療方法は以下の通りです。
大腸がんはごく早期の内視鏡切除が可能なものを除いては、手術によってがんができた部位の大腸を切除するのが一般的です。
多くの場合では、大腸だけでなく、周囲のリンパ節も同時に切除します。手術では、切除した大腸の断端同士をつなぎ合わせて術後にも正常な消化吸収、排泄が行えるようにしますが、肛門に近い部位にできた大腸がんは断端同士をつなぎ合わせることができず、人工肛門を作って、そこから排泄を行うようにする場合もあります。
また、早期であれば開腹手術ではなく、腹腔鏡手術を行うことも可能であり、より体に負担が少ない治療を選択することもできます。
がん細胞を殺す薬物による治療法です。病勢が進行し手術では切除しきれないときや、大腸がんが再発するリスクがある場合によく使われます。
放射線によりがん細胞を殺す治療です。これは、直腸がんの手術の前後に使用することがあります。手術後に放射線療法と化学療法が併用されることもあります。
医師は、大腸がんの進行度を表すために、ステージ分類を使用します。ステージはI~IVまであります。
結腸または直腸の壁にがんがどれだけ深く存在するか、およびがんがリンパ節(感染と闘う細胞を生産し、貯蔵する小さな組織)や、ほかの器官にどのくらい広がっているかによってステージが決まり、それによって治療法や生存率が異なります。
ステージが早い段階であれば手術や放射線治療など局所治療の適応になることもありますが、ステージが進行している場合は手術ではがんの完全切除が難しいため化学療法を選択したり、副作用に耐えられないと考えられる場合はつらい症状に対する支持療法だけを行うこともあります。
大腸がんに限らず、がんは早期発見と早期治療が治癒率を高め、より良い予後につながります。がんに対する正しい知識を得て、早期発見できるように自分の体の変化をチェックするようにしましょう。また、定期的な大腸がん検査も怠らないようにしてください。