「痩せる」ことがやめられない!恐ろしい病気「拒食症」に要注意②

2017/6/6

山本 康博 先生

記事監修医師

東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター

山本 康博 先生

痩せることに快感を覚えるようになり、気づけば命にかかわるところまで体重が落ちてしまう恐ろしい病気、「拒食症」。
前回の記事では、その一般的な症状や特徴を中心にお伝えしてきました。今回は、治療法や予防法についてご紹介していきます。

拒食症の治療法は?

拒食症(神経性無食欲症)は放置すると重症化し、過度に痩せるうちに身体へ致命的な影響を与える可能性があるため、早期治療が不可欠です。しかし、拒食症の治療は簡単ではありません。なぜなら拒食症の人の多くは、自分が病気であることを受け入れられなかったり、太ることを恐れたりしているからです。ほかの摂食障害と同様に、拒食症は患者のニーズを満たすように調整された包括的な治療計画が必要になります。

治療の目標は、「健康的な体重に戻すこと」「自尊心の低さなど、メンタルな問題をケアすること」「ひずんだ思考パターンを修正すること」そして「長期的に行動を変化させること」です。治療は多くの場合、以下の治療方法を組み合わせて行われます。

心理療法

摂食障害の人の思考(認知療法)と行動(行動療法)を変えることに焦点を当てた個別カウンセリングの一種です。具体的には、食べ物や体重に対する健全な考え方を築いたり、拒食しそうになったときの対処法を学んだりします。

投薬

選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などの特定の抗うつ薬は、摂食障害などの病気に関連する不安や抑うつを抑制するために効果的とされています。種類によっては食欲を刺激する薬もありますが、食事への不安感や食事や身体への歪んだイメージ、痩せることへの執着心を改善させるために、ほかの薬が処方されることもあります。

栄養カウンセリング

栄養カウンセリングとは、食べ物や体重に対しての健全な考え方を教え、正常な摂食パターンを回復させ、バランスの取れた食生活に導くために行われる治療法です。

家族療法

摂食障害の治療には、家族からのサポートも欠かせません。摂食障害という病気を家族が理解し、徴候や症状を認識することが大切になります。

入院

痩せるうちに深刻なレベルまで体重が減少し、栄養失調や心疾患、重度のうつ病、自殺願望など重大な精神的・肉体的な症状が現れた場合、治療のために入院が必要になることがあります。重症度によっては栄養チューブや点滴をするケースもあります。

セルフケア

拒食症はあくまで病院での治療を受けることが大切ですが、下記の方法でも症状を和らげることができると考えられています。

活動的になる

活動的になればなるほど、自然と食欲を増進させることができます。また外での活動は、拒食症の人が併せて発症しやすいうつ病を和らげる効果もあるのでおすすめです。

カロリーを増やす

拒食症は健康的な体重に戻す必要があるのですが、体重を増やすには摂取カロリーを増やすのが最も手っ取り早い方法です。手軽にカロリーを増やす方法としては、下記のものがあります。

・オレンジジュースに砂糖を小さじ1杯加える
・好きなものを食べる(脂肪や塩味の強いものでもよい)
・時間に関係なく、空腹になったらいつでも食べる
・卵のような高タンパク食品をたくさん食べる

拒食症を予防するには?

拒食症を完全に予防することは難しいかもしれませんが、日頃から健康的な食生活や体重を学んでおくことが、摂食障害の発症や悪化を防ぐのに有効と考えられています。

おわりに:重症化する前に専門的な治療を!

「体重を増やせばいいだけ」といえば簡単かもしれませんが、痩せることへの意識や太ることへの恐怖感が強い拒食症の方は、そう簡単に体重を増やすことはできません。「私、拒食症かも?」と思っても、太るのが恐くて病院に足を運べないかもしれませんが、拒食症は放置すると命を脅かす可能性もある重大な病気です。早めに病院で専門的な治療を受けることをおすすめします。

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