記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
自分や家族が癌になったとき、そのことを子どもに話すのはとても難しく、慎重に話さなければならないでしょう。
どんな風に言うべきか、どこまで話すべきかなど、子どものことを思えば、話しづらくなってしまいます。
この記事では、子どもに癌のことを話すための手がかりとなるヒントを紹介していきます。
癌になったとき、自分の子どもにそのことを話すのはとても難しいことです。ですが、子どもと話すことは、病気の状態を理解してもらえるだけでなく、安心感を与えることにもつながります。
正直かつ、わかりやすく今起こっていることを話しましょう。子どもには、癌がどんなものなのかを尋ねてみて、知らないことをすべて説明するようにしましょう。
子どもが理解できる言葉で説明してください。「癌」という言葉は、体内のほかの細胞よりも速く増殖する細胞のことだと説明すれば、恐怖感がなくなります。
子どもが話を聞くのにリラックスできる場所、できれば誰にも邪魔されない場所で、時間帯を選んで子どもに話しましょう。
話す前に、子どもに、聞きたいことや思ってることがあれば、何でも言っていいということを伝えてください。特に悲しそうだったり、気が動転している様子のときはなおさらです。
病気になっても、親として子育てをしていくことを伝えてください。病気が気分や感情に悪影響を及ぼすこともありますが、いつでも子どもを大切に思っているということを説明してください。
一度にすべてを伝える必要はありません。いま起きている状況を明らかにしてください。子どもから質問されて答えがわからなかったときは、「わからない」と言いましょう。癌に関する読み物を一緒に読んだり、医師や看護師に尋ねてみてもいいでしょう。
前向きな気持ちを持つことは大切ですが、守れるかどうかわからない約束はしないように気をつけましょう。
「子どもが元気で成長していくことで親が元気になること」や、「自分が愛されていること」、そして「子どもが手助けできることがあること」を子どもに教えてあげてください。
小さな子は、日常の小さな変化にも敏感に反応したりします。子どもが安心できて、なついている人に、入院中の世話を頼んだり、子どもの面倒を手伝ってもらえるか相談してみてください。小さな子は一貫性を求めるので、できれば同じ人に協力してもらえるようにしましょう。日常にどんな変化が起きるか、前もって教えてあげるようにしてください。
入院する場合は、決まった時間に子どもに電話をかけるか、メールを送るようにしてください。そのとき、いつも子どものことを考えていることを伝えてください。
6歳から12歳までの子どもは、癌が体に及ぼす影響についてちゃんと理解できます。
説明するためにシンプルで端的な言葉や短い文章を用いたり、情報を与えすぎて負担をかけ過ぎないようにしてください。次のようなことも伝えてください。
・子どもやそのほかの人のせいで癌になったわけではない
・癌はカゼとは違ってうつらない(近くに座ったり、触ったりしても問題ない)
思春期の子どもと話をしたり、気持ちを打ち明けてくれる機会は少ないかもしれません。場合によっては、行動が理解できないこともあります。
ただ、自分の気持ちを人に打ち明けることは、前向きで大人らしいことだと教えてあげてください。また、自分からもどんなことを考えているかを尋ねたり、大人として接しましょう。でも、この年代の子はまだ親の支援と教育が必要で、普段のルールや約束を守ってもらうことを忘れないでください。
子どもに癌の話をする時は、色んなことを考え、悩んでしまう可能性があります。でも、事実を伝えることで前に進むこともあります。
癌のことを正直に、わかりやすく、そして何よりも、子どものことを大切に思っているという気持ちをしっかりと伝えてあげてください。