記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
何もしていないのに涙が止まらない、涙で目が霞むということはありませんか? もしかしたらそれは「流涙」かもしれません。目の異常が原因で、流涙(りゅうるい)とは、涙が溢れすぎてしまったり、うまく排水することができない病気です。ここでは、流涙の原因や治療方法について解説していきます。
流涙(りゅうるい)とは、涙が溢れすぎてしまったり、うまく流すことができない病気です。
これは誰もがなり得る病気ですが、幼い赤ちゃんや60歳以上の人に最も多く見られます。これによって、目がかすんだり、まぶたがヒリヒリしたり、目がベタベタしたりします。
流涙が続いたり、目が腫れたりした場合は、主治医か眼科医に相談してください。
流涙は主に粘膜の異常が原因となりますが、その他にも、目に損傷をあたえるものによって起こります。
目の粘膜(マイボーム線)は、油分を分泌することで涙を乾きにくくさせる働きをしています。
粘膜が正常に機能しないと(マイボーム線機能不全<Meibomian Gland Dysfunction;MGD>)、目のところどころが乾いてしまいます。乾いた部分は痛みを伴い、それを治そうとして涙が余分に出てしまいます。これが、流涙の最も一般的な原因です。
・下まぶたがめくれる(眼瞼外反)
これは涙が排液管に到達するのを困難にします
・まぶたが内側に入り込む(眼瞼内反)
・まぶたのふちの炎症(眼瞼炎)
・閉塞または狭窄した涙管
・眼への刺激(化学的な煙や砂粒によるもの)
・結膜炎などの眼感染症
・アレルギー
流涙の具体的な原因が分からない場合、詳しい検査が必要になるかもしれません。
検査は、局所麻酔薬を使用して涙管の閉塞を探し、不快感を軽減させます。これは、眼瞼の内側の狭い排液溝に小さなプローブを挿入して、それが詰まっているかどうかを判断します。
また、液体を涙管に注入し、正常に出るかどうかを確認することもできます。
もう1つの検査では、それぞれの目に特殊な染料を滴下します。5分間通常の瞬きをした後に目に残っている量が多ければ、涙管が閉塞している恐れがあります。
涙管のスキャンが行われることもあります。これは、涙管に特殊色素を注入した後、X線などのスキャンを行い、閉塞の位置を特定するのに役立ちます。
ドライアイ症候群によって、余分な涙が出ているという場合は、目薬を点眼し、症状を悪化させるような活動を控えるようにいわれます。
原因がアレルギーや感染症の場合は投薬が必要で、涙管が閉塞している場合は手術が必要な場合があります。
もし、流涙が生活に支障をきたしていないという場合は、治療を受けないという選択肢もあります。
流涙が続いたり、目が腫れたりした場合は、眼科医に相談してください。