記事監修医師
東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック
二宮 英樹 先生
2017/6/13 記事改定日: 2017/9/9
記事改定回数:1回
記事監修医師
東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック
二宮 英樹 先生
排尿時にヒリつきや痛みを感じたり、頻尿で悩まされたり…生活の質にも影響を及ぼす「膀胱炎」。そんな膀胱炎はできれば発症する前に予防しておくことが理想的です。
では、膀胱炎を予防するにはどうすればいいのでしょうか?まだ膀胱炎になったことのない方も、すでに膀胱炎になってしまった方も、ぜひチェックしてみてください。
尿を溜める働きがある膀胱が炎症を起こす病気を膀胱炎といい、肛門周辺にあった大腸菌などの腸内細菌が尿道をさかのぼって膀胱に侵入し、膀胱で雑菌が増殖することにより引き起こされます。
女性の場合は細菌が「肛門→膣に細菌が棲みつく→尿道、膀胱、腎孟」へと侵入していくパターンが多いです。男性に比べて尿道が短く、細菌が膀胱内に侵入しやすいため、一般的に女性は男性よりも膀胱炎になりやすいと言われています。
膀胱にはもともと細菌に対する抵抗力・免疫力がありますが、病気や無理なダイエット、体力低下、睡眠不足などによって抵抗力が弱くなった場合は細菌に感染しやすくなります。また、ストレスがたまっているときや、月経の前後は特に雑菌が感染しやすいので、普段以上に膀胱炎が起こりやすくなります。
また、摂取した薬剤や食物によって起こる物理化学的刺激が原因の膀胱炎や、膀胱の粘膜で起きたアレルギー反応が原因となって生じる膀胱炎もあります。
膀胱炎を予防するにはどのようなことに気をつければ良いでしょうか?
この項目では日常生活の中で取り組みやすい方法を紹介しているので、膀胱炎予防の参考にしてみてください。
膀胱炎を予防するためには水分をたくさん摂り、細菌を体外に排出することが欠かせません。逆に水分摂取量が不十分だと膀胱に刺激を感じてしまうことがあります。
尿意を催したら我慢せずトイレに行くことが大切です。あまり長いこと(3時間以上)尿意を我慢してしまうと、膀胱の筋肉が弱くなってしまう恐れがあるからです。
また、排尿時は膀胱を完全に空にすることを心がけてください。尿の排出が不十分だと、感染症を引き起こしてしまう恐れがあります。
なお、ビデの使用は控えていただいた方がいいかもしれません。ビデを使っても膀胱炎を予防できるわけではありません。また、肛門周辺の細菌が尿道に入らないようにするために、排便後は前から後ろに向かって拭くようにしましょう。
膀胱炎の方は入浴時はバスタブに浸かるのではなく、シャワーで済ませることをおすすめします。湯船に浸かることで、細菌やその他の刺激物が尿路に侵入してしまう恐れがあるからです。また、生殖器周辺に刺激を与えたり、細菌を浸入させたりする恐れのある香料入りの石けんなどは、使用を控えるようにしましょう。
セックスの前後にコップ2杯の水を飲み、セックスの直後に排尿しましょう。
ペッサリーや殺精子剤は膀胱炎を引き起こす恐れがあるため、これらで避妊している方は別の避妊方法に切り替えてください。
膀胱炎を予防するためには、通気性のよい衣服を着用することが大切です。綿製の下着やゆとりのある服を身に着け、膀胱に熱や湿気を溜め込まないようにしましょう。
体脂肪が多すぎると骨盤底や骨盤の神経が圧迫され、尿が溜まっていないのに尿意を感じてしまうことから肥満は膀胱のトラブルを招きやすいと言われます。
からし・わさび・唐辛子などの刺激物、ビール・ワイン・味噌・チーズ類・醤油のどの発酵食品、コーヒー・紅茶・お茶などのカフェインが含まれる食品、炭酸飲料・酸味の強い果物などの酸性食品は、膀胱炎の自覚症状があるときや膀胱炎の治療中には避けるようにしましょう。
一方、膀胱炎の予防・改善効果が期待される食品としては
スイカ(利尿効果があるので、むくみや腎機能の改善に効果が期待できる)、しょうが(体を温める作用と抗菌作用がある)、クランベリージュース(クランベリージュースに含まれる成分には細菌を減らす、細菌の付着を防ぐ働きがある)などが膀胱炎の予防に効果があると報告されています。
ここまででご紹介してきたように、膀胱炎は日常生活の中で予防することができます。ぜひ今回紹介した方法を取り入れて、膀胱炎の予防に役立ててください。
ただし、頻尿や排尿時の痛みなどに悩んでいたらまずは病院で診てもらい、膀胱炎を治しきるようにしましょう。そして、膀胱炎が完治してから再発を防ぐための方法を取り入れてみてください。