記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/6/14
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
てんかん発作は、急に意識を失ったり、その場にばったり倒れたり、痙攣を起こしたりします。発作のことを知らなければ、何が起こったのかわからないので驚いてしまうでしょう。てんかんの持病のある人は、ここでは、てんかんの症状や発作について、まとめました。もしも発作が起こった場合の適切な対応についても書いてあるので、参考にしましょう。
てんかんは、脳内の神経細胞のクラスター(集合体)またはニューロン(神経単位)が、ときおり異常な信号を発して発作を引き起こす、神経障害です。
ニューロンは、通常、人間の思考、感情、行動を形成するために、他のニューロンや筋肉に働きかけるために電気および化学信号を発信しますが、てんかん発作のときには、多くのニューロンが1秒に500回以上という、通常よりも速い速度で信号を送り続ける状態に陥ります。
電気信号の過度に発信され続けた結果、自分の意思とかかわらない運動や感覚、感情、行動が起こり、正常なニューロンの活動が一時的に障害され、意識を失うといった症状が起こるのです。
てんかん発作は、痙攣や意識を失うだけの場合もあれば、それまでしていた動作がとまり、意識を失い、短時間宙を見つめるようになる場合もあります。また、発作が非常にまれにしか起こらない人も入れば、毎日何百回もの発作が起こる人もいます。その他、てんかんには多岐にわたる合併症状があるため、自閉症スペクトラム障害とみなされる場合もあります。
このように、てんかんには、様々な原因や発作があります。重症な発作が起こる場合は、患者本人だけでなく周囲にも大きな影響を与えるでしょう。
一般的には、24時間を隔てて、少なくとも2回以上の発作がなければ、てんかんとはみなされません。
発作は、主に神経学的な問題が原因で起こります。
全般発作は、大脳全体に異常な電気活動が生じるものです。その症状には様々なものがあります。代表的なものを次に紹介します。
・発作が起こると、叫び声をあげたり、音を立てたり、数秒から数分かけて腕を伸ばしたり、腕や脚の動かしたりします。通常は両側の手足に異常な動きがあります。
・呼吸していないように見え、実際に顔が青くなることもあります(その場合、次に、深くゼーゼーと呼吸をすることがあります)。
・失禁することがよくあります。
・全般発作後は意識障害がしばらくの間残ることが多いです。
脳の一部のみが関与しているため、身体の一部のみに異常が起こります。
異常を起こす脳の部分により、症状が異なることがあります。
その症状は次のようなものです。
・手の動きを制御する脳の部分が関与している場合、手だけが律動的または不規則に動くことがあります
・脳の他の領域が関与している場合、満腹感のような奇妙な感覚であったり、服をつまんだり、舌を鳴らすような小さな反復行動が見られたりすることがあります。
部分発作のある人は、時々混乱することがあります。この場合、複雑部分発作の可能性があります。
欠神発作または小発作の症状は次のようなものです。
・頻繁に宙を見つめています(その場合意識障害が起こっています)。
・繰り返しまばたきをしたり、小刻みに動くことがあります。
・典型的には、これらの発作は短時間であり、ほんの数秒しか持続しませんが、1日に何度も起こる人もいます
てんかんではあらゆる種類の発作がみられます。発作は、起きているときでも、寝ているときでも起こります。
30分以上続き意識が回復しない一連の発作のことを、てんかん重積といいます。これは、医療上の緊急事態で、緊急治療が必要です。
てんかん重積の疑いがある場合は、ただちに救急車を呼びましょう。
てんかんの発作が起こっても、通常は救急車を呼ぶ必要がないケースの方が多いでしょう。ただし、以下の症状がある場合はすぐに救急車を呼んでください。
・発作が5分以上続く
・回復しないうちに別の発作が同時進行で起こる
・最初の発作のとき
・負傷していたり、呼吸に問題があったり、他の理由で救急医療を必要とする場合
・発作の後に危険な行動がみられる
上記のような発作が起こっても、その全てがてんかんというわけではありません。てんかんではない発作のことを非てんかん発作といいます。非てんかん発作は、糖尿病や心臓病、心理的状態などが原因で起こります。
てんかん発作は、運転中に意識を失ったりすると、命の危険につながります。てんかんのある人は適切な治療を受け、薬で発作がコントロールされていますが、まれに発作を起こしている状況に遭遇することもあるかもしれません。
もし周囲で発作を起こしている人を見かけたら、救急車を呼ぶようにしましょう。