てんかんの薬は妊娠中に飲んでも大丈夫? 薬の副作用について

2017/6/14 記事改定日: 2018/4/5
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

てんかん発作を起こさないために常用する必要のあるてんかん薬ですが、妊娠を希望する女性にとっては、胎児への影響が気になるところです。今回の記事ではてんかんの薬を妊娠中に飲むことのリスクや、てんかん薬の種類や副作用などを中心に解説します。

てんかんの薬を妊娠中に飲むことのリスクは?

てんかん患者の女性で、将来的に妊娠を希望される方からよく寄せられる疑問に、「てんかん薬を妊娠中に飲んでも大丈夫か」というものがあります。結論から言えば、妊娠中に抗てんかん薬を服薬すると、生まれてくる子供に障害が出たり、発達が遅れたりする確率は上がります。

このことから、妊娠に向けて抗てんかん薬の服用中止を希望される患者さんは少なくありませんが、抗てんかん薬を飲まないと、妊娠中のてんかん発作の回数が増加したり、大発作が起きて胎児の脳が低酸素状態に陥ることで、切迫流産や早産が起こるリスクがあります。

しかし現在では、妊娠初期の薬の量を調整したり、胎児の障害の発現率を減らす薬の服用も可能になってきています。自己判断での服薬中止や減薬は絶対にやめ、必ず主治医と相談してください。

妊娠中のてんかん薬の服用で、どんな障害のリスクが上がるの?

特に妊娠初期のてんかん薬の服用は、胎児の体の器官の発育に影響を及ぼす傾向があります。具体的な障害(異常)としては、以下のものがあります。

口唇口蓋裂:唇や上顎に裂け目が入る先天性奇形
髄膜脊髄瘤(二分脊椎など):脊椎神経の分化が障害され、運動麻痺や失禁などを引き起こす
心室中隔欠損:心臓の左右の心室を分ける心室中隔に穴が空く病気
泌尿生殖器系の異常

てんかんの薬の種類と副作用

てんかん治療の最も一般的とされるアプローチは、抗てんかん薬を処方することです。

現在では、20種類以上の治療薬が利用されていて、それぞれ効果や副作用が異なります。どの薬を処方するか、投薬量はどのくらいにするかは、発作のタイプ、生活習慣や年齢、発作の頻度、薬による副作用、服用している薬、および女性の場合は妊娠しているかどうかなどによって異なります。最適な薬と用量を決定するのに数か月かかることがあります。

ほとんどの発作は、1種類の薬(単剤療法)で抑えることができるといわれています。薬を組み合わせると疲労やめまいといった副作用が増してしまう可能性があるため、医師は通常、1種類の薬のみで治療を進めていくことが多いです。ただし、単剤療法では症状が改善しないときは、薬を組み合わせて処方する場合もあります。

新しい抗けいれん薬を飲み始めるとき、最初は少ない用量から開始し、血液検査をしながら少しずつ量を増やしていきながら最適とされる用量を判断します。副作用をできるだけ小さくしながら、発作を抑えることができる最適な投薬量を判断するには時間が必要です。また、新しい薬を初めて服用し始めるときは、症状が悪化することがあります。

処方される薬は、てんかん発作の頻度や重症度、年齢、健康状態および病歴といったいくつかの要因によって変わりますが、具体的には以下の種類があります。それぞれの副作用についても解説します。

テグレトール(カルバマゼピン)

部分てんかん発作の第一選択薬で、精神症状の改善にも効果があると考えられています。服薬量が多いと眠気やふらつきなどの副作用が起きることがあります。治療開始数ヶ月以内に、白血球の減少が生じることもあります。

また、さまざまな薬物代謝酵素の誘導作用があるため、併用している抗てんかん薬の血中濃度を低下させてしまう可能性があります。

デパケン、セレニカ、バレリン(バルプロ酸ナトリウム)

全般てんかんの発作の第一選択薬として広く使われており、気分障害や偏頭痛の改善効果があるとされます。飲み始めの頃は消化器症状や眠気、体重増加などの副作用を引き起こすことがあります。また、尿素サイクルの障害によって高アンモニア血症を招くことがあります。

アレビアチン、ヒダントール(フェニトイン)

部分てんかん発作、全般てんかんの強直発作に有効な薬です。服用量が多いと眠気やふらつきなどの副作用を引き起こすことがあり、歯茎が腫れることもあります。

フェノバール、ワコビタール、ルピアール(フェノバルビタール)

けいれん発作に有効で、注射剤としててんかん重積状態に使われることもあります。副作用として眠気や気分の低下、小児患者の場合は多動やかんしゃくを引き起こすことがあります。

エクセグラン(ゾニザミド)

部分てんかんや全般てんかんの薬で、併用している抗てんかん薬の血中濃度への影響が比較的少ないと言われています。副作用として体温の上昇や発汗の減少、食欲低下、気分の低下、結石などを引き起こすことがあります。

エピレオプチマル、ザロンチン(エトスクシミド)

欠伸発作に有効な薬で、副作用として服用数日後に軽い吐き気や嘔吐などの消化器症状を引き起こすことがあります。稀にしゃっくりを引き起こすこともあります。

ジアゼパム、クロナゼパムなど(ベンゾジアゼピン系)

抗けいれん作用、抗不安、筋弛緩作用などを持っています。副作用としては眠気やふらつき、高齢者などが服薬した場合は呼吸抑制を引き起こすことがあります。

ガバペン(ガバペンチン)

部分発作の補助薬として使われます。副作用は比較的少ないですが、眠気やめまい、体重増加を引き起こすことがあります。

トピナ(トピラマート)

部分発作の補助薬として使われ、全般てんかんの発作などにも効果を発揮します。副作用として結石や食欲低下、体重減少、発汗の減少などがあります。

ラミクタール(ラモトリギン)

全般てんかんや部分てんかん発作に有効で、水なしでも飲めます。稀にアレルギー性皮疹を引き起こすことがあります。

てんかん情報センター の情報をもとに編集して作成 】

てんかんの治療薬の有効性は?

薬の有効性は時間とともに減少し、発作のリスクを高める可能性があります。

柑橘系の果物やそれを使った製品、特にグレープフルーツジュースは、てんかん薬を含む、多くの薬の分解を妨げることがわかっています。この影響で薬の成分が体に蓄積して、副作用を悪化させる恐れがあります。

てんかんの治療薬はいつまで飲む?

発作が起こらなくなってから2~3年経過した後、服用を中止するようにすすめられる場合もあります。ただし、薬を止めることは、常に医療専門家の管理のもとに行われなければなりません。自己判断で薬を中止することはやめましょう。抗てんかん薬が処方されている限りは、必ず服用し続けるようにしてください。

薬をやめるタイミングが早すぎると、新たな発作を起こしたり、コントロールできない発作が脳内に変化を起こすことで、今後のてんかん治療が一層難しくなってしまうこともあります。最終的に薬を止めることができる可能性は、患者の年齢およびてんかんのタイプによって異なります。

なお、薬で症状が出なくなる子供の半分以上が、最終的に新たな発作を起こさずに薬の服用を止めることができるといわれています。

ある研究によると、薬を止める前に2年間発作がなかった成人の68%が、新たな発作を起こすことなく薬をやめることができ、75%の人は3年間発作を起こさなかった場合に薬をやめることができたことがわかりました。

薬を止めることは、複数の薬が必要な患者や重度の発作を起こした患者、異常な脳波がみられる患者などにはあまり適していません。

おわりに:てんかんの薬は医師と相談しながら

てんかんの薬にはたくさんの種類があり、現在では、妊娠希望の女性が飲んでも比較的リスクの少ない薬や、減薬の方法などが登場してきています。医師と相談しながら、自分に合った薬を見つけましょう。

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