記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/6/16
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
待望のおめでた! あなたのかわいい赤ちゃんとの対面までにはけっこう時間がありますね。妊娠中の生活は不安だらけ。でも、タバコを吸っているとしたら、その不安はますます募るかも!?
妊娠中の喫煙が良くないことはいたるところで言われています。でも、なんで良くないのでしょうか?
ここでは、妊娠中の喫煙のデメリットと、禁煙するための方法についてまとめました。
自分自身では禁煙したくなくても、赤ちゃんの健康を考えたら禁煙する必要があります。
赤ちゃんが生まれる前、お腹にいる間、そして出産後、すべてのタイミングで妊娠中の喫煙は赤ちゃんの健康に影響を及ぼします。ニコチン(タバコに含まれる中毒性のある物質)、一酸化炭素、およびタバコから吸い込むたくさんの毒は、血流を通って胎内に運ばれ、赤ちゃんに直接届いてしまいます。
妊娠中に喫煙していると、以下のような影響が現れます。
・あなたとお腹にいる赤ちゃんが吸う酸素量が減ってしまう
・赤ちゃんの心拍数を上げる
・流産や死産の可能性が増える
・赤ちゃんが早産や低体重で生まれるリスクを高める
・赤ちゃんが呼吸器疾患を発症するリスクを高める
・先天性欠損のリスクを高める
・乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクを高める
1日に吸うタバコの量が多ければ多いほど、赤ちゃんが上記に示した問題や他の健康問題を発症する可能性は高くなります。
受動喫煙とは、タバコから出る煙と、喫煙者が吐き出した煙を、周囲の人が吸い込むことをいいます。
タバコや葉巻を吸って吐き出す煙には、喫煙者が吸っている煙よりも多くの有害物質(タール、一酸化炭素、ニコチンなど)を含んでいるといわれています。
妊娠中、定期的に煙にさらされていると、死産、低体重児、先天性欠損児、および他の妊娠合併症の可能性が高くなります。妊娠中、間接喫煙にさらされた子供は、喘息、アレルギー、頻繁な肺および耳の感染症を発症しやすくなり、乳幼児突然死症候群のリスクも高くなります。
妊娠中の女性も、禁煙を助ける多くの禁煙プログラムが利用できます。プログラムの詳細については、医療機関に相談してください。
ここでは妊娠中の女性が禁煙することに役立つヒントをいくつかご紹介します。
・マッチ、ライター、灰皿を見えないところに隠す
・自宅すべてを禁煙エリアにする
・喫煙者の家族に自分の周りでタバコを吸わないように頼む
・カフェイン飲料やアルコールを飲む回数を減らす(カフェインやアルコールが喫煙を促す可能性があるため)
・喫煙の習慣を他の活動に変える(運転中やストレスを感じるときに喫煙していた場合は、ほかの活動を試してみる)
・タバコが吸いたくなったら、ミントやガム(できればシュガーレスのもの)を手にする
・タバコから意識を遠ざけたり、緊張を和らげたりする活動を続ける(散歩する、運動する、本を読む、新しい趣味を始めるなど)
・第三者のサポーターを探す(サポートグループまたは禁煙プログラムに参加する)
・バーやクラブなど多くの人が喫煙している場所や、喫煙コーナーには行かない
ニコチンガムとニコチンパッチは、体内の血流にニコチンを放出します。これらの製品は、禁煙しようとしている人のニコチン離脱症状を減らし、喫煙への欲求を軽減することができます。
しかし、これらの製品の安全性は、妊娠中の女性に関してはわかっていません。
ニコチンガムやパッチは、カウンセリングなどの治療法がうまくいかなかった場合や、製品を使い禁煙の可能性を高めるメリットのほうが、いまだ明らかにされないリスクよりも上回る場合にのみ、妊娠中の女性に使われるべきであると考えられています。
禁煙すると、あなたと赤ちゃんの心拍が正常に戻り、赤ちゃんは呼吸の問題を起こしにくくなりことが期待できます。
体がタバコの中毒性物質であるニコチンに慣れているため、離脱症状があるかもしれません。イライラしたり、空腹感をものすごく感じたり、頻繁に咳をしたり、頭痛を起こしたり、集中しづらくなったりすることが起こることもあるでしょう。
ただ、離脱症状は一時的なものです。離脱症状は、最初の禁煙時が最も強いですが、10~14日以内になくなるといわれています。
離脱症状が起きたときは、禁煙する理由について考えましょう。元気な赤ちゃんの顔を思い浮かべると乗り越えられるのではないでしょうか。離脱症状は体が回復しているサインであり、禁煙に慣れていく過程といえます。離脱症状は、喫煙が引き起こす恐れがある病気の治療よりもずっと楽なはずです。
もし、再びタバコを吸ったとしても、希望を捨ててはいけません。禁煙に成功した人の75%が再び吸っていて、ほとんどの喫煙者は成功するまでに3回くらい失敗しているといわれています。
落ち込むよりも、次に吸いたくなったときにどう対処すればいいかを具体的に考えてみましょう。
妊娠中は赤ちゃんのためと思えば、多少のがまんはできると思います。しかし、残念ながら禁煙に失敗してしまうこともあるでしょう。そんなときでも、落ち込むことなく、すぐに禁煙を始めてください。失敗を繰り返しながらでも、自分に合う禁煙方法を見つけましょう。