嚥下(えんげ)障害及び嘔吐について ~ 食事が辛いと感じたら注意!

2017/6/16

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

食べることは人間の三大欲求のひとつであり、人によっては生活の中でも大きな楽しみです。
嚥下障害によってその楽しみを奪われてしまうのは辛いことだと思います。
今回は、嚥下障害や嘔吐の治療法、さらなる進行を防ぐための対策をご紹介します。

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嚥下(えんげ)障害とは

嚥下障害は、食べ物や飲み物を正常に飲み込むことができなくなる状態のことです。
一般的に高齢者に多く見られ、嚥下障害があると固形の食べ物や液体、唾液を飲み込むときに痛みを感じ、まったく飲み込むことができない場合もあります。
また、本来飲食物が入ってはいけない気管に飲食物が入るようになる場合もあります。

発症すると以下のような症状が見られます。

・嚥下中に痛みを感じる
・窒息しそうな感じがある
・何かが喉に詰まっている感じがする
・食べると咳き込む
・嘔吐しそうになる
・体重が減少する
・胸焼けがする
・脱水症状になる
・不意に食べ物や飲み物を飲み込んでしまう

嚥下障害はどうして起こるの?

嚥下障害の原因として、次のような要因が挙げられます。

食習慣などの生活習慣

嚥下障害は生活習慣によって引き起こされることがあります。
食習慣を例にとると、速く食べる、咬まない、横になって食べる、食べている間に水を飲まない・・・などが原因となることが多いです。
また、歯の痛みや欠損のために適切に噛むことができない場合にも症状が出ることがあります。

神経および筋肉障害

脳卒中・パーキンソン病・多発性硬化症・筋ジストロフィーなどの機能障害によって、食道の神経や筋肉の機能が停止してしまうことがあります。
これは、食べ物の移動が遅くなったり食道詰まらせたりする原因です。

食道自体の問題

たとえば、胃酸が逆流すると食道が損傷し、食道に瘢痕を作ることがあります。
これが食道の開口部を狭くし、嚥下障害を引き起こす要因となります。

その他の障害

癌や拡大した甲状腺、拡大した心臓によって食道が圧迫され、嚥下障害が起こる可能性があります。

どうやって治すの?

原因によって異なりますが、治療法としては以下のものがあります。

食習慣が原因の場合

よく噛む、食べている間にもっと水を飲むなど、飲み込み方を改善する方法が指導されることが多いです。
また、嚥下中に頭の角度と位置を変えるようにすすめられたり、舌や食道などの嚥下筋肉を鍛える方法が指導されることもあります。
場合によっては薬や他の治療法が取り入れられることもあります。

胸やけによって引き起こされる場合

制酸剤を服用します。

腫瘍や他の何かが食道を塞いでいる場合

状況によっては手術が必要になることもあります。

嘔吐とは

胃の内容物(食べたものや胃液など)を吐いて戻してしまうことです。
嘔吐の症状は一時的なものがほとんどですが、長期間吐き気が続く場合は“消化不良”やその他の病気の可能性があるため、医師に相談したほうが良いでしょう。

脱水症状に注意!

嘔吐によって水分や体液が失われると脱水症状を起こしやすくなります。
なるべく水分をたくさん摂り、脱水症状を防ぎましょう。
普通の水の他に、塩、砂糖、カリウムおよびその他の栄養素が配合された経口補水液や流動食などを利用することもおすすめです。

おわりに:嚥下障害や嘔吐のときは正しい水分補給を忘れずに

嚥下障害や嘔吐が起こっているときは、水を飲み込むことさえ辛い場合もあります。
そのような場合にも、脱水症状を防ぐために流動食や経口補水液などを使って体に必要な栄養や水分を摂るようにしてください。

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