記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/21
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
学習障害は学校生活だけでなく、日常のありとあらゆる領域において、人が新しいことを覚えようとするときに影響を及ぼします。
この記事では、学習障害が人にどのような影響を与えるのか、そして家族はどのような助けを得ることが可能なのかをご紹介します。
学習障害は人が情報を理解するときや情報を伝達するときに大きく関わり、新しい情報や複雑な情報の理解や技術の習得、自立した対処などが困難になる場合もあります。
重度の学習障害を持つ人は35万人に及ぶと考えられており、その数はさらに増え続けているといわれています。
学習障害の程度には軽度・中程度・重度という段階があります。
軽度の人々の中には、新しい技術の習得には少し時間がかかるものの、問題なく会話することや自分のことができる人がいる一方で、重度になると全く会話することができないことに加え、学習障害の他に複数の障害を持っている場合もあります。
また、学習障害は学習困難や精神疾患とは異なるものです。
学習障害を持つ子供の中にも、ある程度自立している子もいれば、入浴や服を着ることといった日常的な行動の手助けが必要な子もいます。
個々の能力によりできることが違うため、学習障害を持つ子供や若者への特別な教育が必要な場合もあります。
学習障害は生まれる前・出生時・または幼児期のいずれかの時期に、脳の発達が正常になされないことで起こると考えられています。
原因がわからないケースもありますが、脳の発達に悪影響を及ぼす例として以下のものがあげられます。
・妊娠中の母親の病気
・出生時のトラブルによって脳に十分な酸素が供給されなかった場合
・胎児が特定の遺伝子を発現した場合
・学習障害を引き起こしやすい特定の遺伝子を両親から受け継いだ場合(遺伝性学習障害)
・髄膜炎などの病気または幼児期の傷害
また、学習障害には他の病気が関係していることもあります。
たとえば、ダウン症の人はほぼ全員がある種の学習障害をかかえており、自閉症やてんかんをお持ちの場合も学習障害となるケースが多いです。
子供が複数の障害を持ち、その中で最も顕著なのが学習障害の場合は「重度重複学習障害(PMLD)」と診断されます。
重度重複学習障害と診断された子供の多くは、知的あるいは身体的障害、複雑な健康上の問題、あるいは精神的な問題をかかえているため、食事、洗濯、トイレへの移動など、日常生活の多くの場において1人以上の介助者が必要になることが多いです。
いったん子供が学習障害と診断されると、かかりつけ医が必要に応じてあらゆる分野の専門家を紹介してくれます。
かかりつけ医の他に、小児科医・言語療法士・理学療法士・教育心理学者・臨床心理学者などの専門家からのサポートによって、子供はできるだけ長く、自立した生活を送れるようになるでしょう。
食事のときに役に立つグッズを下記に挙げましょう。
・かまれたときに破損したりしないように設計されている、デザインの異なる食器
・どれくらいの量を飲んだかがわかりやすい透明なカップ
・柄が短く、握りがあり、形が不規則なフォークやナイフ
・食べやすいように角度がつけられている滑らない皿やボウル
・食事に時間がかかっても食べ物の温かさを保てる断熱食器
・食器が滑らないようにするための滑り止めマットなど
フォークを持つのが難しいといった精巧な運動能力の欠如、麻痺、見えないなどの感覚的な制限や調和障害といった理由から、障害のある子どもにとって食事をすることは特に難しいことです。
上記のような食事に関するグッズを用いることで、子供も保護者も食事のときのストレスが少なくできるでしょう。
学習障害の程度は個人によって異なるため、その人に合ったサポートを行ない、できるだけ自立した生活を送れるようにしましょう。
また、医療機関や社会機関が実施している支援を利用することも良い方法です。