記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/6/19
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
年をとればとるほど、体の自由は効かなくなり、結果として転倒のリスクは高まっていきます。
そして、転倒のリスクと同時に高まっていくのが骨折のリスクです。ここでは、高齢者の転倒と骨折について見ていきましょう。
高齢者ほど高まる転倒のリスク。これは加齢に伴う変化だけでなく、関節炎 、白内障または腰の問題などの特定の病状によっても増加します。
ほとんどの転倒は家の中で起こるといわれています。高齢者の転倒リスクを減らすために、室内でできる対策を挙げていきましょう。
家の照明が、明るく隅々までしっかり室内を照らしていることを確認しましょう。照明を明るくしておくことが、見えにくい物でつまずくのを防ぐことに役立ちます。また、寝室、廊下、階段、バスルームなど夜に転びやすそうな場所には夜間照明を入れるようにしてください。
ラグがしっかりと床に固定されているか確認しましょう。固定できない場合は、裏地に滑り止めが施されたラグを使うようにしてください。
歩行する範囲内の床に電気コードを走らせないようにしましょう。
階段や廊下、バスルームには手すりを付けておきましょう。
簡単に手が届く場所に物をおくようにしてください。無理に手を伸ばそうとするときなどは姿勢が不安定になり転びやすいです。特にキッチンなどは、置き場所が高すぎたり低すぎたりしないように注意しましょう。
視力は、バランス感覚と体の動作に深い関係性があります。最低でも二年に一度は視力検査を受けるようにしましょう。
聴力もまた、バランス感覚に影響します。聴力が衰えていると感じた場合や、めまいが起こった場合は、医師に相談してください。
骨や筋肉を強く保つために、定期的に運動する習慣をつくりましょう。また、脚に痛みを抱えていると活動の幅が狭くなり、転倒のリスクを高めてしまいます。脚に痛みがある場合は、なるべく早く医師に診てもらってください。
高齢者はたくさんの薬を服用していることが多いです。様々な薬が副作用としてふらつきなどによって転倒リスクをあげます。高齢者の服用している薬を把握し、どのような副作用が起こるかを確認しておきましょう。
歩行の補助として、杖や歩行器の使用を医師に提案された場合には、必ずそれを使用しましょう。
年をとるにつれて、骨が弱くなってしまうのは事実です。転倒の際の骨折リスクも格段に高くなっていることでしょう。
しかしながら、骨がもろくなってしまうスピードを遅くしたり、骨粗しょう症を予防するために、日ごろからできることはたくさんあります。
一般的には、年齢を重ねるにつれて活動の量は減っていく傾向にあります。ここで問題となるのは、活動的でないことが筋肉や骨をどんどん弱くしてしまうということです。これは、骨粗しょう症、転倒、骨折のリスクが増大する原因になります。
そこで、65歳以上の人が健康を保つためには、中程度の運動(10分1セット)を週に150分行うことが推奨されています。
中程度の運動とは、体が温まり、呼吸が早くなり、心拍数が上がるけれども、まだ会話ができる状態で行われる運動のことで、たとえば、友達とゴルフに出かけたり、ガーデニング作業をしたり、犬の散歩に出かけたりなどが挙げられます。
また、バランス感覚を養える、ヨガや太極拳もおすすめです。このような運動は、関節痛にも効果的とされています。
また、座りっぱなしの生活にならないようにすることも大切です。座っている時間が長いと、骨や筋肉が弱くなってしまうだけでなく、関節も硬くしてしまうため、転倒のリスクも高まります。20~30分座ったら、立ち上がって軽く歩き回るようにしましょう。
65歳を過ぎた頃からは老化による転倒に気をつけたいものですが、だからといって体を動かさなければ衰えは加速し、よけいに転倒リスクが高まります。
室内で転倒しないための工夫を施すとともに、健康な骨を維持するために、可能な範囲でかまわないので活動的になるようにしましょう。