乾癬とは?症状や原因、治療法を解説

2017/6/19 記事改定日: 2018/3/23
記事改定回数:1回

前田 裕斗 先生

記事監修医師

国立成育医療研究センター フェロー

前田 裕斗 先生

「乾癬(かんせん)」をご存知でしょうか?日本ではおよそ1000人に1人に見られる皮膚疾患です。今回の記事では、この乾癬とはどんな皮膚疾患なのか、症状や原因、治療法など全般的な情報をお伝えしていきます。

乾癬とは?

乾癬(かんせん)とは、免疫系システムが活性化し、表皮が過剰に増殖することで引き起こされる慢性の皮膚疾患です。国内の患者数はおよそ10万人と推定され、比較的男性の発症率が高いです。発症年齢は乳幼児から高齢者まで幅広いですが、男性の場合は50代、女性の場合は20代か50代での発症が多いとされています。病名で誤解されやすいですが、接触しても感染することはありません。

なお、乾癬には下記のような種類があり、それぞれで症状が少しずつ異なります。

・尋常性乾癬
・関節症性乾癬
・乾癬性紅皮症
・膿疱性乾癬
・滴状乾癬

乾癬の症状とは?

乾癬の症状を、種類別にご紹介します。

尋常性乾癬

乾癬の中で最も一般的なタイプで、全体の約9割を占めます。下記の症状が特徴です。

・紅斑(こうはん):皮膚が炎症を起こし、赤くなります
・浸潤(しんじゅん)・肥厚(ひこう):皮膚が盛り上がります
・鱗屑(りんせつ):銀白色のうろこ状のかさぶたが付着します
・落屑(らくせつ):上記のかさぶたが剥がれ落ちます

関節症性乾癬

関節の痛みや変形などの関節炎を伴うタイプの乾癬です。多くの場合は関節症状よりも先に皮膚症状が出ますが、逆の場合もあります。具体的には以下の症状が特徴です。

・末梢関節炎:主に手足の指先の関節に炎症が起こります。体の片側に起きることが多いです
・ソーセージ指:指一本がソーセージのように腫れます
・関節破壊:関節で炎症が起こり、腫れや痛み、骨の破壊、変形を引き起こします

乾癬性紅皮症

皮膚の症状が広がり、全身の9割以上が赤くなります。皮膚の機能が低下するために体温調節ができなくなり、発熱や悪寒、むくみ、脱水症状、倦怠感などを引き起こします。

膿疱性乾癬

皮膚がガサガサするだけでなく、赤くジクジクとなった部位ができ、その中に膿疱(膿が溜まった発疹)ができます。高熱や関節炎、倦怠感、全身のむくみを伴い、多くの場合は入院が必要になります。

滴状乾癬

米粒大くらいの小型の赤い皮疹が全身に現れます。風邪や扁桃炎などの感染症がきっかけで発症することが多く、子供や若い人の発症率が高いタイプの乾癬です。

乾癬の原因

乾癬の原因ははっきりとはわかっていませんが、体質などの遺伝的要因や環境的要因による免疫系の異常が原因で引き起こされると考えられています。環境的要因としては、肥満やメタボリックリンドローム、冬季の乾燥、溶連菌への乾癬、ストレス、薬剤の影響などが挙げられます。

なお、乾癬に関連しているとされるのは「TNFα」と呼ばれるサイトカイン(細胞間の情報伝達に関わる物質)です。TNFαは炎症を引き起こす物質であり、炎症を引き起こす別のサイトカインの産出を促進すると言われており、乾癬の幹部ではこのTNFαが過剰に作られていることがわかっています。

乾癬の治療方法

乾癬になると炎症を繰り返しますが、近年では医療技術の進歩により、皮疹や関節症状がほぼない状態を維持できている患者さんも少なくありません。

治療方法としては、
・外用療法:塗り薬による治療
・内服療法:飲み薬による治療
・光線療法:紫外線を照射する治療
・生物学的製剤:注射や点滴による治療
があります。

外用療法の塗り薬

乾癬の基本的な治療法です。処方される塗り薬は以下のものがあります。

ステロイド外用薬

血管の拡張や白血球の拡張を抑え、炎症を鎮めます。主に紅斑の治療に有効で、効果が現れるのも早いですが、長期間使用すると別の皮膚の症状が現れるなど副作用の恐れがあります。

ビタミンD3外用薬

ビタミンD3には、表皮細胞の異常な常食を抑える作用があるため、肥厚や鱗屑の症状に有効です。ただ、効果が現れるのは少し遅めです。

内服療法

皮膚細胞の異常増殖を抑制するレチノイドや、免疫反応を抑えるシクロスポリンなどを内服します。

光線療法

中波長紫外線(UVB)や長波長紫外線(UVA)の照射によって過剰な免疫反応を抑える治療法です。近年では、UVBに含まれる有害な波長を除去したナローバンドUVB療法が主流の治療法になりつつあります。外用薬で改善しない場合や、皮膚症状の面積が広い場合に適応されます。

生物学的製剤

皮下注射か点滴に生物学的製剤を投与し、患部の炎症物質を抑制します。

おわりに:乾癬かも?と思ったらまずは皮膚科へ

乾癬は、成人を過ぎてから発症することのある皮膚疾患です。乾癬の種類や重症度に応じて適切な治療方法は異なるため、紅斑や鱗屑などの特徴的な症状が見られたら、まずは皮膚科を受診しましょう。

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