海外旅行に行く際の注意点 ~ 不安は渡航前に消しておこう!

2017/6/19

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

海外旅行では、やることなすことすべて勝手が違います。現地ではスムーズにコミュニケーションをとることも難しいですから、渡航前の準備はとても重要です。
ぜひ、下記に挙げた注意点を参考にしてください。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

ワクチンを接種しておく

予防接種が必要な国に渡航する場合は、ワクチンの中には複数回摂取しなくてはいけないものもあるため、少なくとも出発する6週間前に医師に相談してください。 また、子供のときに受けたことがあるワクチンでも、新たに接種する必要がある場合もあります。

新たに接種が必要になるワクチンの種類

・A型肝炎またはA型肝炎免疫グロブリン
・B型肝炎
・インフルエンザ
・日本脳炎
・麻疹・ムンプス・風疹
・髄膜炎菌性髄膜炎
・肺炎球菌
・ポリオ
・狂犬病
・破傷風およびジフテリアトキソイド
・腸チフス
・水痘
・黄熱病

下痢に注意する


旅行者下痢症のリスクが高い国では、食事に気をつけましょう。アフリカ、アジア、ラテンアメリカ、カリブ諸国などの発展途上国を旅行する人は発症の可能性が高くなります。

下記に注意点を挙げてみます。
・露天で売られている食品や低温殺菌されていない乳製品は食べない
・水道水は飲まず、市販のボトル入りミネラルウオーターか炭酸飲料を飲む。歯をみがくときもボトル入りの水を使用する
・レタスやフルーツサラダなど生野菜や果物を食べない(自分以外の人が皮をむいている場合は食べない)
・生肉、レアの肉や魚を食べない
・出されたときに温かくないような、調理してから時間が経った肉や魚貝類は食べない

旅行者下痢が気になる人は、旅行前に医師などに相談しましょう。特に免疫系が弱いと感じている人は、どのような薬を用意したらいいかなどをアドバイスをしてもらいましょう。
また、抗菌薬を早期に服用すると、旅行者下痢の症状が短期間で収まるケースがあるといわれています。

虫に刺されないように注意する


蚊に媒介されて起こる病気のリスクが高い国に行くときは、虫除け剤などで虫から身を守ることが大事です。また、眠るときは衣類を着用し、蚊帳(かや)を使用しましょう。
マラリアのリスクがある国に行く際は、マラリアの予防のために病院を受診してください。出発する前にマラリア薬の摂取を開始し、旅行中に服用し、帰宅後4週間は服用を続けます。
また、淡水の湖や川で泳いだり、その他の水辺での活動を避けることも重要です。住血吸虫症(ビルハルジア症)は、アフリカの河川や湖沼で泳いだことで起こる疾患であり、死に至らないまでも重症化するケースがあるので注意しましょう。

渡航前にやっておきたいこと


勝手の違う外国で自分自身の健康を守るために、多少面倒でもやっておくべきことは済ませておきましょう。

例えば、渡航前に歯科治療を完了させておいたり、渡航先の医療情報を調べておくこともとても重要です。
また、旅行用救急キットも用意しておきましょう。以下に揃えておくと便利なものをまとめました。
・処方薬(容器に入れる)
・下痢止め薬と胃薬
・「旅行者下痢症」にかかる場合に備えて、ロペラミドなどの抗生物質や制酸薬の処方箋をもらえるかどうか医師に相談してください。
・咳(せき)用風邪薬
・アスピリン、アセトアミノフェン、ナプロキセン、イブプロフェンなどの鎮痛薬
・アレルギーのための抗うつ薬および抗ヒスタミン薬(眠気を起こさないもの)
・抗生物質の軟膏、絆創膏、ヒドロコルチゾンクリーム、SPF15以上の日焼け止めおよびリップクリーム
・乗り物酔い止めの薬。処方薬アセタゾラミドは悪心(おしん)や高山病の予防に役立ちます。
・はさみ、ピンセット、爪切り、ポケットナイフ、体温計、鏡
・ウエットティッシュと除菌消毒薬

おわりに:自分の体は自分で守ろう!

ルールや慣習に不慣れなうえに、言葉もあまりわからない土地で病気になると、とても不安な気持ちになるでしょう。
予防のためにやるべきことをしっかり済ませておくことが重要です。準備を怠らず、不安もない最高の旅にしましょう!

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