記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/6/19
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
高齢者は、数種類の処方薬を服用している場合が多く、医師の指示通りに服用していない場合に中毒や、副作用を起こすことがあります。今回は高齢者の処方薬乱用について説明します。
処方薬乱用とは、処方されていない処方薬を服用したり、医師が指示していない方法で処方薬を服用することです。処方薬には、多くの鎮痛剤や抗不安薬、睡眠薬が含まているものがあります。処方薬を乱用する人は、医師の指示よりも多くの薬を服用したり、必要がないときに薬を服用したり、酒やほかの薬と混ぜて服用したりすることもあり、このように服用すると中毒、薬物相互作用、過剰摂取などの重大な問題につながる可能性があります。
ただ、全ての処方薬が中毒を引き起こすわけではありません。ほとんどの処方薬は、医師の指示に従って服用すれば安全とされています。
高齢者はほかの年齢層よりも処方薬が多いという特徴があります。毎日複数の処方薬を服用することになるので、服用時のミスや薬物相互作用が出る可能性が増加します。薬物相互作用は、複数の薬物が互いに反応するときに生じ、薬の効果を下げたり、有害な副作用を引き起こす可能性があります。さらに、加齢により身体から薬の成分をろ過する能力が低下するため、低用量でも中毒や副作用を起こす危険があるのです。
あらゆる処方薬に乱用のリスクがありますが、高齢者は中毒リスクが高い以下の2種類の薬を服用する機会が多いです。
疼痛を和らげるための処方薬です。長期間あるいは過剰に服用する場合、中毒になることがあります。
不安、パニック発作、不眠症を治療する処方薬です。長期間服用すると中毒に陥り、服用量を増やすことになる場合があります。
なお、ほかの鎮痛薬や睡眠薬などの処方薬も中毒を引き起こす可能性があります。
薬を処方した医師に相談し、懸念を打ち明けましょう。実際に薬を乱用しているか、中毒になっているかどうかは医師が判断し、治療につなげます。 以下の場合は処方薬を乱用している可能性があるので注意しましょう。
・2人の異なる医師から同じ薬の処方箋を入手する
・2つの異なる薬局で同じ処方薬をもらっている
・以前よりも多くの処方薬を服用する、または指定の服用回数よりも頻繁に服用する
処方薬中毒の場合、以下のような変化が現れる場合があります。一緒に暮らしている人はよく観察しましょう。
・指定と違う時間、またはより高頻度に薬を服用する
・明らかに内向的になったり、怒りっぽくなるなど行動が変化する
・薬のことばかり考えたり、話したりする
・薬を飲まずに外出することを恐れる
・薬について尋ねられると不快感を表したり、守りに入る
・薬が必要な理由を言い訳する
・財布やポケットに余分な薬を保管する
・薬をこっそり持ち出したり、隠したりする
・過去にアルコール、薬物、処方薬の乱用の治療を受けていた
乱用している薬の種類や中毒の状態、そして薬をやめることによるリスクによって治療方法は異なりますが、カウンセリングや医師による治療(またはその両方)で対処します。
高齢者の処方薬の乱用は、家族やその周囲の人達が、高齢者をよく観察することで防げます。正しい処方薬の服用をさせ、中毒を起こさせないようにすることが重要です。