海外旅行中の水に注意! ~ 旅行者下痢症の治療とは

2017/6/20

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

前回の記事では、海外旅行のときに水などが原因でなることの多い旅行者下痢症について、概要をまとめました。

今回の記事では、旅行者下痢症の治療や対策をまとめます。下痢の原因に海外旅行などが思い当たる場合は、よく読んでおきましょう。

旅行者下痢症とは?

ほかの病気と同じく、旅行者下痢症も自分で治そうとするのではなく、医師に診てもらうことをおすすめします。

これは妊娠中の女性や子供の場合、特に重要です。

症状を治療するには?

市販薬の服用で痙攣を減らすことで、旅行者下痢症の症状を抑えることができる場合があります。

ただし、血の混ざった便や、発熱や痛みがある場合は、ロペラミドなどの腸運動抑制剤を使わないでください。

医師にいつ見てもらう?

自宅で治療しても、数日後まで下痢が続いている場合は、病院を受診しましょう。
抗生物質が処方されるかもしれません。それでも下痢が続く場合、医師は抗生物質に耐性のある細菌か寄生虫がいるかをチェックすることがあります。

病院の受診が必要なときは?

・子供の下痢で血が混ざっている場合
・脱水症状、長引く嘔吐、または38.9度以上の発熱の場合
・吐き気や嘔吐が水分補給ができないほど深刻な場合
・気分が悪かったり心拍数が早い場合

旅行者下痢症の治療は?

旅行者下痢症の治療について、説明します。

水分補給

下痢で失った体液および塩分の補充をします。世界保健機構が推奨するORS(Oral Rehydration Solution)といった経口補水液を使うのが最も効果的です。

ORSは、ほぼすべての開発途上国の店舗や薬局で入手できます。

ORSは煮沸した、もしくは滅菌処理された水に1パックを加えます。パックに記載されている水の量をしっかり測りましょう。

ORS溶液は、室温での保存では12時間以内、冷蔵保存の場合は24時間以内に使用します。

下痢止めの薬

下痢止め薬は、下痢便の回数を減らすことができますが、重度の感染症の人には合併症を引き起こす可能性もあります。これらの薬は、発熱や血便のある人には使用しないでください。

アメリカ疾病予防管理センターは、旅行者下痢症のために抗菌薬を使うことをすすめていません。これは、問題を引き起こす可能性があるためです。これらの薬の服用については、医師に相談してください。

上記の治療薬の中には子供にすすめられないものもあるので、子供や乳児の下痢を治療する際には医師に相談することが重要です。子供、特に乳児にとって最大のリスクは脱水です。ORS溶液で水分補給を行いましょう。

旅行者下痢症の対策:水分補給

水分補給がとても大切です。
・喉の渇きを感じていなくても、水分をたくさん飲みましょう(子供は特に脱水しやすい)
・固形食を食べたくないときは、ボトルや缶の水や清涼飲料水を飲み、最初の24時間は具の入っていないコンソメスープを飲む
・下痢を悪化させるカフェインや糖分、アルコールを含む飲料は避ける
・脱水の場合、薬局やドラッグストアで入手できる経口補水液を飲む

旅行者下痢症の対策:食事の再開

・最初に固形食を食べる気になれない場合は、24時間後にバナナ、米、リンゴ、トースト、塩味の効いたクラッカー、ゆでたジャガイモ、卵、穀物から食事を始める
・最初の24時間は乳製品を避ける
・ゆっくりと通常の食べ物に戻す

乳児の授乳や離乳食の場合

授乳中の乳児には、必要に応じて授乳を続けましょう。ミルクを飲んでいる乳児には、完全に乳糖が入っていないもの、もしくは乳糖控えめの粉ミルクを使いましょう。沸騰したお湯を冷ましたもので、粉ミルクをつくるようにしてください。

半固形、もしくは固形物を食べている子供は、下痢になっていても普段の食べ物を食べさせるようにしましょう。もし、下痢になっている子供に中程度から重度の脱水症状(口、目、肌の乾き、目のくぼみ、発熱、血便、しつこい嘔吐、38.9度以上の発熱を含む)がみられる場合は、ただちに医師の診察を受けるようにしてください。

おわりに:水や食べ物が原因での下痢も医師の診察が重要

夏休みに海外へ行かれる人も多いでしょう。この記事で取り上げた、旅行者下痢症は海外にいった人に起こりやすい下痢症です。

もし、自分がその症状に当てはまる場合、または周囲の人がなった場合、まずは、医師の診察を受けましょう。適切な治療をしてもらえます。

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