記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/6/20
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
思春期の多感な時期には、自分の体型のことにも敏感になっています。ところが、必要以上に気にしすぎて無理なダイエットに走ることも少なくありません。風邪でもないのに嘔吐をした――食事を拒絶しようとする摂食障害の兆候かもしれません。
摂食障害とは、体重にこだわりすぎるあまり食べ物や食事に拒絶してしまう精神疾患のことです。 摂食障害は大きく過食症と拒食症に分類されます。 摂食障害は10代から20代前半に発症することが多く、特に 中高生の少女に顕著といわれています。周囲からの目を必要以上に気にしてしまい、自分を卑下したり、孤立してしまってストレスが積もり重なることが原因のひとつに挙げられ、 摂食障害は生命を脅かす重大な病気を引き起こす可能性があります。
摂食障害には、はっきりそれと分かる兆候がみられる場合もありますが、判断がつきづらいことも珍しくありません。ふだんから様子をよく把握しておくことが重要です。主な兆候としては、食べている様子や食事の量を見られる(知られる)ことを恥ずかしがったり、食事の時間以外にも食べる、短期間で大量に食べる、過度な運動、食前食後の嘔吐などがみられます。これらの兆候がみられたら、医師に相談しましょう。専門的なアドバイスを授けたり、改善のプログラムをつくってもらう必要があります。
一度に大量に食べたり(暴食)、嘔吐をしたり、これらを繰り返す摂食障害です。パージングと呼ばれる、下剤を服用して体内の食物を取り除こうとする行為をすることもあります。
体型が変わることをひどく恐れて食事を拒絶します。実際は太っていないのに太っていると思い込んで自己を歪曲していることが多く、人の目を気にして食事を摂ったように偽ったりもします。
過食による肥満を原因とする、 心臓病、糖尿病 、高血圧などにとどまらず、無理なダイエットや薬の服用が原因で、胃腸やその他の臓器を弱らせてしまい、骨粗鬆症になってしまう恐れがあります。日常生活においても、感情が不安定になったり、集中力が散漫になる、衰弱するなどの悪影響が懸念されます。摂食障害が重度になると栄養失調に陥り、最悪の場合、死に至ることもあります。
心身の成長途上の摂食に関するトラブルは、その後に大きく影を落としてしまいかねません。また、摂食行為以外にも自傷やアルコールなどの非行に走ってしまうケースが多く、不登校などの原因にもなります。摂食障害には、医師による専門的なサポートも必要ですし、家族や友人たちの愛情を認識させることも重要です。メディア上の有名人などに強く憧れることもありますが、そうした世界は現実とは別のものだということをきちんと理解させましょう。体型にナーバスにさせず、自立心と自尊心が築いていけるよう、日ごろからコミュニケーションをはぐくんでください。