記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/9/1 記事改定日: 2017/9/2
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
記事監修医師
東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック
二宮 英樹 先生
養子を迎えようと考えたときに、子供の医療情報や健康状態に関して、あらかじめ何を知っておけばよいのでしょうか。また、迎え入れる子供のために、どのようなことを準備しておけばいいのでしょうか。項目別で紹介していきます。
子供の現在の健康状態や精神状態(トラウマなどの精神的外傷など)のことはもちろんですが、妊娠期間や出産時、初期発育の状況や病歴・治療歴(親族も含む)、予防接種歴(母子手帳に記載してある)についての情報は可能な限り入手しておくようにしましょう。予防接種については、市や町の保健センターで接種歴を把握していることもあります。虐待やネグレクトなどについても詳しく調べてください。
ただし、迎え入れる子供の親族が養子縁組の計画に不満がある場合には、情報を得ることが困難な場合もあります。。また、肉親の行方がわからなかったり、実父が不明の場合も、情報を得ることが難しいでしょう。子供の抱える問題点を理解することは、将来子供に起こるであろうトラブルを予想し防止するための手がかりになります。できる範囲でかまわないので、情報を集める努力は惜しまないようにしてください。
養子として引き取られた子供には、以下のような摂食に関する問題が見られることが多いといわれています。
・過食
・食べ物の貯め込み
・食べ物の窃盗
・特定の食べ物を食べられない
ネグレクトなどが原因で、十分な食事を与えてもらえなかった子供は、養子として引き取った後でも、過食や食べ物の貯め込みといった問題を引き起こすことがあることが報告されています。
このような問題を解決するためには、次のような対策が有効な場合があります。
・落ち着いて食事の時間を過ごせるような環境作りをしてあげて、決まった時間に必ず食事が食べられるようにする。
・偏食がある子供には、好む食べ物を少量食べさせながら、少しずつ食べていなかった食べ物を取り入れていくようする。
・無理に全部食べさせようしない。ただし、食べる努力はして欲しいということは伝えるようにする。
・トラウマの原因となるような食べ物は避ける。
養子として迎えてくれる家族を必要としている子供の中には、、脳性小児まひ、ダウン症、または胎児性アルコール・スペクトラム障害(FASD)など、複雑な疾患を抱えている子供もいるでしょう。
このような子供を迎える場合は、ケアに必要な環境を揃え、子供が必要とするサービスを確実に受けられるように準備しておくことが重要です。また、虐待や育児放棄などで心に傷を負った子供に対しては、トラウマを持っていないかどうかにも注意する必要があります。
また、多くの子供は、身体的・医学的な困難のほか、ネグレクトや虐待によって引き起こされたトラウマにも気を配る必要があります。
養子に迎える子供は、様々な事情があって今の状況に置かれています。迎え入れる側の「新しい親」が、事情の全てを知ることはおそらくできませんが、できるだけ理解しようと心を配ることはできるでしょう。そして、養子として迎えた子供が充分なケアが受けられるようになための準備を怠らないようにしてください。