記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/20
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
常に心配を感じている…そして、それが日常生活に影響を与えているとしたら、不安障害、またはパニック障害を患っている可能性があります。心配が軽い場合は問題ありませんが、長期にわたる心配は、高血圧症などのより深刻な病気を引き起こす可能性があります。今回は心配や不安感が肉体に与える影響について解説します。
全般性不安障害(GAD)は、特定の出来事や状況に関連していない、進行中の不安をコントロールできずに日常生活に支障をきたす病気です。特に小児のGADは、健康な心を失うことになるかもしれません。
心配とは、不安や恐れといった感情を指します。
軽い心配性であれば役立つ可能性があります。例えば、試験前の不安は受験者の集中力を高め、パフォーマンスを上げる手助けとなるでしょう。しかし一方で、過度の心配は人を疲弊させ、集中を阻害します。
誰しも人生において不安になりやすい時期がありますが、その状態がいつまでも続いてしまうと様々な問題が生じることになるのです。
人は不安やストレスを感じているとき、身体がアドレナリンやコルチゾールといったストレスホルモンを分泌します。これが心拍数の上昇や発汗量の増加といった肉体面における症状を引き起こします。 肉体面における症状は以下のとおりです。
・心拍数の上昇
・過呼吸
・動悸
・胸部の痛み
・頭痛
・発汗
・食欲の喪失
・めまいを感じる
・トイレが近くなる
・そわそわする
これらの症状は、他の要因によりもたらされる場合もあります。例えば、パニック障害(パニック発作に襲われる)や外傷後ストレス障害(恐ろしい、或いは悲惨な出来事を体験することにより生じる)などです。
常にこれらの症状がある場合は医師に相談しましょう。医師はいくつかの質問から、別の原因でその症状を引き起こしていないかを確認します。例えば他の身体疾患や、ある種の薬がGADを引き起こすことがあります。甲状腺機能亢進症や、うつ病がある場合も、これらの症状になることがありますが、ほかの理由が見つからない場合は、GADの治療を受ける必要があります。
GAD治療の中心はは、不安や心配に対処する方法を学ぶことです。医師は、不安に対処する治療計画を立て、何があなたを緊張させるのかを理解するのに役立つカウンセリングと、不安を感じさせないような薬を処方します。
不安に対処するための適切な治療のヒントは以下のとおりです。
「心配」が現れる場所と時間がはっきりしている場合は、毎日、その「場所と時間」で30分間、何ができるか考えましょう。
また、起こるかもしれないことではなく、本当に起こっていることに集中して1日を過ごすことも大切です。
筋弛緩(きんしかん)、ヨガや深呼吸などの方法を試しましょう。深呼吸の手順を以下に示します。
1.平らな面に横になる
2.おへそのすぐ上、胃の上に片手を置き、もう一方の手を胸の上に置く
3.胃が少し上昇するように、ゆっくりと呼吸する
4.息を少し止める
5.ゆっくりと呼吸して、胃を元に戻す
筋肉を数秒間強く押し続けたあと、指を離します。足から始めて体の上のほうへ、すべての筋肉にこの方法を試してみましょう。
不安をもつ人は運動をやめてしまいます。しかし運動は、幸福感を与え不安感を軽減するのに役立ちます。
睡眠は脳とからだを休め、気分だけでなく幸福感を向上させる効果が期待できます。
アルコールや薬は一時的にはリラックスできますが、長期的には不安を悪化させ、より多くの問題を引き起こします。
カフェインは、コーヒー、紅茶、清涼飲料水、チョコレートに含まれています。カフェインは神経系を刺激するので、不安感を増すことがあります。また、市販のダイエット薬、うっ血除去薬を含む咳(せき)の薬や風邪薬を避けましょう。
不安感な状態でいることは非常に怖いものですが、直接体を傷つけることはないでしょう。恐怖のレベルを0から10にわけ、レベルが上下したときを記録してみてください。ただし、非常に高いレベルに数秒以上とどまらないように注意しましょう。恐怖があらわれたら、それを受け入れ、立ち止まり、恐怖から離れずに通り抜ける時間を持ちましょう。
自分自身が不安を感じている場合は、リラクゼーション法を練習するか、100から0をくりかえし数えるなどの簡単な作業に集中します。
医師は、不安に対処するカウンセリング計画を立て、怒りや不安を抑え、より多くコントロールできるようにしてくれます。
最も重要なことは、行動することです。行動は、不安をコントロールする感覚を得るのに役立ちます。
不安を軽減する効果が期待できる薬は多数存在します。医師に相談すれば、症状に適した薬を処方してもらえるでしょう。
ただし、症状がなくなっても医師の指示があるまでは、薬を飲み続けてください。
日常生活において心配、緊張感、恐れ、危惧、懸念、不穏状態に陥ったときに感じる「不安感」は、危険を警告するからだの「警報システム」として役立ちます。しかし、不安感や心配、パニック感は、突然の発作を引き起こす場合もあり、特定の状況や対象が「恐怖」に変わる可能性もあります。自分がそのような症状があると感じたら、今回紹介した解決方法を試してみましょう。