記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/10 記事改定日: 2019/2/27
記事改定回数:2回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
「頭がズキズキ痛むだけでなく、なんだか気持ち悪い」「頭痛も吐き気もめまいもする」「頭痛が起きたと思ったら、次は下痢に…」――そんな諸症状でお困りの方に向けて、考えられる原因をご紹介していきます。
頭痛も吐き気もある場合、片頭痛の可能性があります。片頭痛は、中程度から重度の痛みを伴う再発性のある症状で、ズキズキと脈を打ったり、頭の片側もしくは両側に痛みが起こります。
痛みは4~72時間持続することもあり、光や騒音、臭いに敏感になり、吐き気や嘔吐を伴うのも特徴のひとつです。
片頭痛と吐き気との関連性は明確にはわかっていませんが、脳内の神経伝達物質である「セロトニン」が関連していると考えられています。セロトニンが脳の表面上の血管を拡張するよう信号を送ると片頭痛が起こり、また、このセロトニンの数値が低いと乗り物酔いや吐き気が起こるといわれています。
片頭痛は、運動や咳、くしゃみによって痛みが悪化することもあります。また、生理(医学的には月経というのが一般的です)前や仕事でストレスの多い日が続いた週の週末など、特定の時期や時間帯に片頭痛になる人も存在します。
なお、以下のような特定のタイプの片頭痛は、吐き気や嘔吐を引き起こす可能性がさらに高くなります。
腹部片頭痛とは、主に幼児が発症する片頭痛の一種で、お腹の真ん中あたりに中程度から重度の痛みが1〜72時間続くものです。
頭痛はほとんど(あるいはまったく)ありません。追加の症状として、吐き気、嘔吐、食欲不振などがあります。腹部片頭痛を発症する多くの子供は、後年片頭痛を発症します。腹部片頭痛を発症することはまれです。
一般的には、子供に数時間~数日ほど続く吐き気と嘔吐をもたらす症状です。正確には片頭痛の一種ではありませんが、周期性嘔吐症候群の子供の多くは大人になると片頭痛を発症するため、両者には関連性があると考えられています。
片頭痛発作重積とは、身動きがとれないほどの痛みと吐き気が72時間以上続く、急性の片頭痛の中でもまれで重度のタイプです。痛みや吐き気が強すぎるために、入院を余儀なくされるケースもあります。
頭痛や吐き気だけでなく、めまいや下痢などの諸症状を伴う場合は、以下の疾患が考えられます。
実は、片頭痛と過敏性腸症候群には相関性があるという説があります。両者を結びつけるのが、先述の「セロトニン」です。肩こりやストレスなどの刺激を受け、血小板からセロトニンが放出されると、このセロトニンが別の血小板を刺激し、さらにセロトニンが放出されるようになります。これにより、血中のセロトニンの濃度は急上昇し、血管を収縮させます。
セロトニンが高濃度になると体内の代謝が促進し、セロトニンが排尿されることで今度は血中のセロトニン濃度が急落し、血管が拡張することで片頭痛を引き起こすと言われています。また同時に、この血液循環の過程においてセロトニンが腸内に運ばれると、腸の蠕動運動が刺激され、下痢が引き起こされると考えられているのです。
また、
でも、頭痛と吐き気が起こります。ただの頭痛、ただの吐き気と軽く考えず、今まで経験したことのないような頭痛や発熱を伴う頭痛、めまいがする、指や手を動かしにくい、うまく喋れないなどの症状を伴う場合はすぐに病院を受診しましょう。
吐き気と頭痛が同時に起こっている場合は、くも膜下出血や脳出血、脳腫瘍など脳圧が上昇する病気が原因のことがあります。頻回な嘔吐の他に、手足のしびれや麻痺、ろれつが回らない、言葉が出ないなどの症状を伴うのが特徴ですので、これらの症状が見られた場合は脳神経外科を受診するようにしましょう。
また、突然これらの症状が見られた場合は、休日・夜間を問わず救急外来を受診したり、救急車を要請して一刻も早く病院で検査・治療を開始することが大切です。
その他にも、片頭痛や群発性頭痛などの慢性頭痛でも吐き気が引き起こされることがあります。頭痛発作を頻繁に繰り返す場合は、内科や神経内科、頭痛外来のある医療機関を受診して治療を行いましょう。
吐き気を伴う頭痛は片頭痛によるものが多いですが、片頭痛以外にも頭痛や吐き気、めまいなどを引き起こす疾患は数多く存在し、その中には深刻な病気も含まれています。「熱はないか」「頭のどの部分が痛いか」「頭以外に痛いところはないか」など、自分の症状をきちんと把握することが大切です。症状が辛い場合はがまんせず、すぐに病院を受診しましょう。