記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/6/26
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
最近の研究によると、ニンニクは高血圧や循環器系疾患、コレステロール、風邪、いくつかの癌に対して効果があると示唆されています。
テレビや雑誌などのメディアでも頻繁に取り上げられていますが、「ニンニクは健康に良い」というのは本当でしょうか? この記事では、ニンニクの健康効果の真偽について見ていきたいと思います。
ニンニクにはビタミンC、B6、マンガン、セレンおよびその他の抗酸化物質(特にアリシン)が含まれています。
高血圧治療にニンニクを使用することについての非常に有効な根拠である2012年の論評は、良質な研究だと認められています。
それによると、1日に3回200mgのニンニクパウダーを摂取すると血圧が低下することが示唆されました。
しかし、その論評はニンニクが高血圧を治し死亡率を減少させるかどうかについては十分な証拠がないため、「ニンニクが高血圧の改善に効果的であるとは断定できない」と結論付けています。
29件の良質とされる研究(全ての研究を合わせると被験者は1794人)を再調査した2009年の論評では、ニンニク(研究で使用したのは主にニンニクパウダー)が総コレステロールレベルを多少低下させたという結論に至っています。
ニンニクの風邪への効果を主張した研究のほとんどは十分な証拠が得られなかったため、2012年の再調査における良質な論評では「ニンニクサプリメントの風邪の治療または予防への影響については十分な根拠はない」と結論付けられました。
また、論評によるとニンニクが風邪を予防する可能性があると示唆した良質な研究が1件だけありましたが、この発見を裏付けるためにはより多くの研究が必要になります。
これについても様々な意見があります。
2007年に実施された世界がん研究基金の論評では、「ニンニクは おそらく腸がんと胃癌を防ぐ」と言うに留められました。
また、ヒトを対象にした2009年の論評では、胃癌、乳癌、肺癌、子宮頸癌については信頼できる証拠はないとしていますが、結腸癌、前立腺癌、口腔癌、卵巣癌、腎臓癌に対しては「極めて限られた効果があった」という結論が出ています。
ニンニクやタマネギは風味が強いので、口臭や体臭の要因になります。
また、食べ過ぎると胸やけがしたり胃が痛くなったり下痢になったりと、消化器系のトラブルを引き起こす可能性もあります。
それ自体は健康的な食材とは言え、摂りすぎには注意しましょう。
高濃度のニンニク抽出物を使用した研究では、ニンニクの摂取で血液循環の改善、コレステロール値の改善、および血圧の低下が見られ、循環器系疾患のリスクを低下させることが示されています。
しかし、結論には至っていないため、今のところニンニクサプリメントを使うことで健康が改善するとは断言はできません。
ただし、ニンニクはレモン汁、唐辛子、ハーブ、スパイスなどと同じように、食事に味付けする際の塩味の代替品になるため、特に塩分を控えたいときには大変便利な調味料となります。
塩分を減らすことは高血圧の予防に効果的であり、そういった意味では、ニンニクを使うことは高血圧を防ぐことに役立ち、心臓病などのリスクを下げる効果が期待できるといえるでしょう。