記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/6/26
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
内耳炎(ないじえん)は、内耳と呼ばれる耳の内側の一部を冒す病気です。 内耳炎を起こすと、脳は正しいバランス信号を得られなくなり、倒れているか回転しているような感覚になることもあります。 今回は内耳炎の症状や治療法を解説します。
内耳炎の症状は、軽度なものから重度なものまであり、一日中どの時間帯でも、症状が出ることがあります。 一般的な症状は次のとおりです。
・ふらふらするようなめまい(浮動性めまい)
・回転しているような感覚(回転性めまい)
・眼振
・吐き気または嘔吐
・片耳の聴力障害
・耳中で鈴がなっているような幻聴(耳鳴りとも呼ばれる)
内耳炎は主に多くの場合は中耳の炎症が内耳に広がることによって起こります。炎症が波及する主な経路には、正円窓、卵円窓、外側半規管、内耳道の4つがあります。
このうち、内耳と中耳を隔てる正円窓や卵円窓から、中耳炎の炎症が波及するのが主な内耳炎の発症経路です。慢性中耳炎の中でも、鼓膜の表面に真珠腫という塊ができる真珠腫性中耳炎では、骨を溶かして、外側半規管に内耳瘻孔が形成され、炎症がおよぶことがあります。
なお、まれに髄膜炎によって、内耳道から炎症が広がることがあります。内耳炎によって引き起こされる症状には、平衡感覚をつかさどる三半規管や、聴覚をつかさどる蝸牛などの機能が低下することが挙げられます。
問診で別の病気が内耳炎を引き起こしていないか確かめます。さらに詳しく状態を確認するために、複数の検査が行われることもあるでしょう。例えば聴力検査、平衡機能検査、耳だれがある際はその部位からの細菌培養検査などを行います。
炎症のもとになった中耳炎や髄膜炎の治療を行うことが大切です。細菌感染による急性中耳炎から内耳炎に進行した場合は、抗生物質の投与によって、内耳炎と中耳炎の治療を同時に行うことができます。
難聴が後遺症として残るケースもありますので、早急に治療を行うことが大切です。
腫脹を軽減するために、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDsとも呼ばれる)が使用されることがあります。 これらには、イブプロフェンおよびナプロキセンが含まれます。 また、腫脹を軽減するために、ステロイド薬が使われることもあります。その他、吐き気や嘔吐、めまいなどの症状を軽減するために薬が処方されることもあります。
重度で制御不能な嘔吐がある場合は、脱水を防ぐために短期間の入院が必要です。少なくとも1週間から2週間の安静が必要とされているので、 この間は、重機の運転、登山、運転などの活動は避けましょう。 これらの活動中に突然めまいに襲われると危険です。
回復するために、次のことを注意してください。
・急な動き、特に頭を急に動かすことは避ける
・ラケットボールやバレーボールなど、たくさん動くスポーツはしない
・症状が出たときは静かに横たわる
・明るい光を避ける
・症状が出たときは読書をしない
重度の症状が現れた場合でも、1週間後には良くなることがほとんどなので、過度に不安に思う必要はないでしょう。 ほとんどの人は2〜3ヶ月以内に完全に回復しているといわれています。 ただし、運動に対する感受性への影響が数年間残ることがあり、これは高齢者に顕著です。 永久的な難聴が残る場合もまれにあります。このような後遺症を避けるためにも、内耳炎は早期に治療するようにしましょう。
内耳炎は早めに治療をすることで重症化や後遺症が防げるといわれています。内耳炎と思われる症状が現れた場合は、自己判断せず病院を受診するようにしましょう。