記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/6/26
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
チョコレートは、ココアに砂糖やミルクを加えて作られる加工食品です。ココアは鉄やマグネシウム、マンガン、リン、亜鉛に富み、抗酸化物質のカテキン類とプロシアニジンも含まれています。
近年、専門家たちの間でチョコレートを癌予防やストレス解消に効果がある健康食としてとらえる動きがあります。その真相に迫ってみましょう。
高血圧は心疾患や脳卒中の重大な要因です。ココアを主飲料としているパナマ・インディアンの人々の血圧が低いことから、チョコレートの健康効果への関心がにわかに注目を集めるようになりました。
チョコレートの血圧への影響に関する調査において、ダークチョコレートを含むココア製品が血圧を下げる一定の効果があることが証明され、動物による臨床試験の結果、ココアを豊富に摂取することによって腸癌の予防につながる可能性があることが示唆されています。
その他、40gのダークチョコレートを2週間摂するとストレスホルモンの低下が見られた、1日に2本のチョコレートバーを食べると脳卒中リスクがわずかながら低下するといった、健康の改善が期待できるデータがありますが、いずれも信頼性が乏しく、今後の解明が望まれます。
チョコレートの健康効果に関する研究は、チョコレートよりもココア抽出物に焦点を当てていることを念頭におきましょう。
ココア製品が循環器系疾患に対して有益な効果がある可能性については注目する価値があるかもしれませんが、チョコレートはココアだけでなく砂糖や脂肪も多く含んでいるという事実を無視することはできません。 すなわち、チョコレートは肥満や糖尿病などの病気の危険性をはらんでいる高エネルギー食品だということです。
健康改善が期待できるとして、いわゆる「スーパーフード」として、ざくろ、グレープフルーツ、にんにく、全粒粉など、さまざまなくだものや野菜が推奨されています。これらも特定の食品に頼るのではなく、バランスよく食生活に取り入れ、なおかつ適度な運動、規則正しい睡眠を続けることによって、はじめて健康的な体を獲得することができるのです。
食べるだけで健康になれる「スーパーフード」は存在しません。特定の食品に頼るのではなく、たくさんの食品をバランスよく摂取し、適度な運動や規則正しい生活を送ることで初めて健康な体になることができます。
チョコレートをただ食べるのではなく、運動後のエネルギー補給や、集中した作業の合間の休憩のときなどに取り入れてみましょう。チョコレートはとてもかんたんに手軽にエネルギーを回復できます。正しい生活習慣を送るうえで、適度にチョコレートを食べることは、健康維持に大いに貢献してくれるでしょう。