大気汚染と喘息(ぜんそく)の関係 ~ 予防法を解説 ~

2017/6/26

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

大気汚染は目、喉、肺を刺激する可能性があり、症状は人によって異なります。喘息などの肺疾患を患っている人は、大気汚染に対し非常に敏感であり、他の人が気づいていなくとも症状を訴えることがあります。今回は大気汚染とぜんそくについて解説します。

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大気汚染とは

大気汚染は、空気の質を低下させる様々な種類のガス、水滴および粒子から生じます。 大気汚染は都市でも地方でも引き起こされる 可能性があります。
都市部では、自動車、バス、飛行機、産業あるいは建設が大気汚染の原因となります。 地方では、トラクターからの粉塵、泥や砂利道を走るトラックや車、岩石採石場、木材や作物の火災からの煙が、大気汚染の主な原因です。

喘息(ぜんそく)の原因と症状

気管支喘息(以下、喘息)は呼吸器の病気です。 喘息患者の気道は、アレルギーを引き起こす物質(アレルゲン)や空気中の他の刺激性物質に非常に敏感です。喘息の発作は、アレルゲンまたは他の刺激物が気道の内壁に炎症(腫脹)および狭窄を引き起こすことで始まります。 気道の筋肉は急速に収縮し、気道がさらに狭くなります。気道の内壁に炎症が起きると、より多くの粘液が産生され、 粘液は気道を詰まらせ、さらに空気の流れを遮断します。

大気汚染は健康にとって有害か

健康な人であれば、大気の質が改善されると、大気汚染による症状も自然に消えてしまいます。 しかし、子供のように、大気汚染に敏感に反応する人もいます。 また子供は、汚染度の高い地域にいると、空気のきれいな地域にいるときよりも多くの疾患を発症する可能性があるといわれています。
心臓や呼吸器に疾患を持っている人も、汚染された空気に過度な反応を示します。 汚染レベルが非常に高いときは、活動を制限しなければならない、あるいは追加の治療が必要になるほどに症状が悪化する可能性があります。 過去には、重度に汚染された環境によって、多くの人の命が奪われました。

大気汚染から身を守るための方法

あなたの地域のAQI(空気質指数)予測値を確認しましょう。 AQIが100より大きい場合は注意が必要です。また、暑く晴れた日などの危険性の高い気象条件がある場合や、胸の圧迫感や目の痛み、咳などの症状が現れたときは注意しましょう。
大気汚染の影響から身を守るために、以下のような対策を行いましょう。

汚染レベルが高い間はできるだけ屋内にいる

汚染物質は、屋外よりも屋内のほうが少ないことがほとんどです。

屋外での活動は早朝か日没に

外に出る必要がある場合は、屋外での活動を早朝に制限するか、日没後まで待ちましょう。 日照がオゾンレベルを上げるため、この対策は高オゾン状態(大都市の多くなどで発生)のときに重要です。

屋外での運動をしない

大気汚染が健康に有害な状態であると報じられているときには、屋外で運動をしないようにしましょう。

おわりに:汚染された大気に触れないような対策をとろう!

今回ご紹介した方法で、健康な人であれば大気汚染による症状を予防することが可能です。 しかし、害の大きさでよく知られている汚染源の近くに住んでいたり、そこで働いている場合や、心臓や肺に慢性的な疾患がある場合は、大気汚染から身を守るために、その他の方法を取り入れることも検討したほうがいいでしょう。まずは医師に相談することが大切です

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