記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
2017/6/26
記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
眼鏡もコンタクトもつけずに、はっきり景色を楽しむことができる――。
「レーシック手術」は、視力でお悩みの方にとって非常に魅力的な選択肢のひとつです。
今回の記事ではレーシック手術を検討中の方々に向けて、手術前に知っておくべきことや手術の流れなど、レーシックに関する詳しい情報をお届けしていきます!
レーシックは魅力的な視力矯正方法ですが、手術の申し込みをする前に下記の点に注意しておきましょう。
・目の非常に繊細な部分の手術のため、目の状態を手術前に戻すことはできない
・他の外科手術と同様、リスクや合併症がある
・多くの人が手術に成功しているが、すべての人に適した手術というわけではない
・視力が完全に回復しないこともある
・レーシックで遠視矯正をしても、将来的に老眼鏡が必要になる場合がある
・近視でレーシック手術をした場合、手術を受けていない人より早く老眼鏡を必要とすることがある
・再手術が必要になるケースがある
・多くの場合、保険の適応外
また、下記に該当する人はレーシック手術を受けることができません。
・一定年齢未満(以上)の人
詳しい年齢制限については眼科医にご確認ください。
・妊娠中や授乳中の女性
視力に影響を与えるホルモンが出ているため、正確な手術が難しくなります。
・アキュテインや経口プレドニゾンなどの処方薬を服用中の人
・目の状態が安定していない人(視力に変化があるなど)
・糖尿病患者
角膜へのレーザー手術によって目に異常を引き起こし、目の健康状態が悪化する可能性があります。
・慢性関節リウマチやHIV患者
手術後の回復能力に影響を与える可能性があります。
・緑内障、目のヘルペス感染症、白内障、角膜障害、網膜疾患の患者
レーシックの担当医が決まったら、不安を払拭するためにも、手術前に下記の質問をすることをおすすめします。
・レーシック手術を何年前から行っているか
・これまでのレーシック手術の経験数
・「手術成功」の定義について&手術成功率
・手術ではどんなレーザーを使用するのか
・手術後どのようなケアが受けられるか
・手術後問題が起きた場合の責任の所在
・考えられるリスクや合併症
レーシック手術を行う前に、まずは目の検査を行います。コンタクトレンズを着用している場合、基本的には検査前のある時期から着用をやめる必要があります(ソフトレンズ:2週間前、トーリックソフトレンズまたは硬質ガス透過性レンズ:3週間前、ハードレンズ:4週間前)。検査の前にコンタクトを着用していると、一時的に角膜の形状が変わり、正確な測定値にならない可能性があるからです。
また、手術前の数日間から化粧品やローション、香水を控えるよう指示を受ける場合もあります(レーザー治療を妨害したり、手術後の感染リスクを高めたりする恐れがあるため)。
一般的な検査の流れは下記のとおりです。
・緑内障や網膜、ドライアイ検査など目の健康状態の確認
・角膜と瞳孔の湾曲の測定
・トポグラフィ測定
不規則な乱視や円錐形の角膜がないことを確認します。
・角膜の厚さの測定
・レーシック手術のリスクと効果、可能性のある合併症に関する説明
・インフォームドコンセントへの署名
内容を注意深く見直し、すべてを理解するまで署名しないでください。
レーシック手術は、以下のような流れで行われます。
1.点眼薬による麻酔
目の表面を麻痺させます。
2.角膜の固定
目が動かないように吸引リングを配置し、角膜を正しい位置に固定します。
3.フラップの切断
特別な装置を使い、眼球(角膜)の外層から薄い角膜組織の蝶番を残したフラップを切断し、フラップを持ち上げます。
4.レーザー照射
角膜にレーザーを当て、フラップ下の角膜組織を再形成し、再びフラップをかぶせます。
5.アイシールドを置く
フラップを保護するために、アイシールド(透明なプラスチックまたは穴の開いた金属)を目の上に置きます。
レーシックは、片目ごとに10〜15分で終了する短い手術のため、基本的には入院の必要はありません。一日で両目の手術を行うこともありますが、片目の結果を見てから数週間後にもう片方の目のレーシック手術を行うこともあります。
手術後、視力は通常数時間~数日と比較的早く回復し始めますが(術後1ヵ月くらいまでは、視野が安定しない可能性があります)、下記の点に注意してください。
・手術後に目をこすらない
手術後数時間は、軽度の焼けたような痛みを感じることがありますが、目をこすらないでください。必要に応じて鎮痛薬を処方してもらいましょう。
・異常な副作用があれば、すぐ医師に報告する
・視力が十分に改善されるまで運転しない
・手術後2週間は水泳や入浴は控え、シャワーだけにする
・手術後4週間は激しい運動は避ける
レーシック手術の流れがイメージできたでしょうか?眼鏡やコンタクトでの視力矯正とは違い、レーシックは目に直接働きかける治療法なので、リスクや後遺症も含めた正確な知識を事前に仕入れておくことが重要です。