自覚することが第一歩!アルコール依存症からの脱出

2017/3/15 記事改定日: 2017/9/7
記事改定回数:1回

二宮 英樹 先生

記事監修医師

東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック

二宮 英樹 先生

お酒が好きならば誰しも、ついつい飲みすぎてしまう事があるのではないでしょうか?

しかしその頻度が毎晩毎晩となり、知らず知らずの間に「アルコール中毒」になってしまう人も多いのです。アルコール依存症は自分だけの問題だけでなく、周囲や社会にも大きく影響を起こす可能性があります。

まず、自分自身が「アルコールに関して問題を抱えている」ということを自覚することが、アルコール中毒を克服するためサポート得る大きな第一歩になります。

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アルコール依存症を克服するために

もし、すでにアルコール依存症の状態になってしまっているのであれば、自分自身でアルコールの摂取をコントロールするのは非常に困難です。また、その状態が深刻なものになってしまっていて、完全にアルコールを断ち切るには支援が必要とされる場合でも、無理にすぐに止めようとすることは、逆に悪影響を引き起こす可能性があります。

以下のような場合、サポートを求める必要があります。
・アルコールを飲めない状況でも、強い欲求がわきおこる
・アルコールなしでは眠れないと感じる
・アルコールなしでは感情が抑えられないと感じる
・アルコールを飲むとトラブルに発展する
・アルコールを飲むことが問題を引き起こしていると考えている
・飲み方、飲む量について、他の人から警告されている
・アルコールを飲むことが問題を引き起こしていると考えている

アルコールによる問題の解決には、まず、医師に早めに相談することが一番です。どれだけアルコールを飲み、それによって、どのような問題を引き起こしているのかについて、正確に、正直に話すようにしましょう。

自分一人の力では、アルコール依存症からなかなか抜け出せません。

自制心を保ちながら、なんとかアルコールの量を減らしていく場合でも、完全にアルコールを断ち切ろうとする断酒の場合でも、アルコール依存症の克服には、自分以外の人の助けが必要です。
また、アルコール依存症の克服に成功した状態を維持するための計画を立てる必要もあります。医師は、治療だけでなく、たとえば、地域のアルコール依存に関する支援コミュニティやサービスなどから、患者に合ったさまざまなタイプのサポートも選提案してくれます。
地域の支援グループや、その他のアルコールに関するカウンセリングについて、どれが適しているか、聞くこともできます。積極的に自分から、専門機関や支援サービスをウェブやスマホで検索し、地域で実施しているアルコール依存に関連するサポートを探すのもいい方法です。

薬物によるアルコール依存症の治療

 

アルコール依存症を治療するための薬として、抗酒剤があります。

抗酒剤

アルコール依存症の治療によく使われる薬として、シアナマイド®やノックビン®という抗酒剤があります。

どちらもアルコールが体内で代謝される過程に関係した薬剤です。人がアルコールを摂取すると、肝臓が主に働いてアセトアルデヒド、酢酸に代謝され、やがて炭酸ガスと水に分解されます。

シアナマイド®、ノックビン®はどちらも、アルコールの代謝過程を邪魔します。これらの抗酒剤を飲んでいる人がアルコールを摂取すると、アルコールが代謝されずに血液中に残り続けます。そのため少ない飲酒でもひどく酔ってしまい、頭痛、吐き気、嘔吐、めまいなどの症状があらわれてしまいます。

 

アルコール依存症からの復活

アルコール依存症を克服するにはどうすればいいのでしょうか。

アルコール依存症の治療後

抗酒剤は、断酒を決意し、アルコールを断つことを継続するために服用する「補助的」な薬です。断酒後も、再飲酒の危機は至る所にあり、激しい飲酒欲求にも襲われます。抗酒剤を服用すれば、飲んだら苦しくなるということがわかっているので、頼れる味方のように思えますが、服用しなければ元のアルコール依存症に逆戻りです。抗酒剤でアルコール依存症が治るというわけではありません。

治すためには、
・治療を受ける気になること
・薬によるアルコール中断症状の緩和
・合併症の治療

そして、
・断酒を続ける精神療法
・家族のサポート
・断酒継続のための援助
が必要です。

アルコールとの断絶

アルコール摂取の削減や断酒はただのはじまりに過ぎません。その後の、自己管理の維持とアルコール断絶状態の継続が重要になります。そのためには、ある程度の支援や一定期間に渡るプランが必要で、適切なサポートを受けることが、その後の自己管理の維持にとって極めて重要なものとなります。

家族や友人に一方的に支援を依存するだけでは、十分ではありません。人間の意志はとても弱いものです。地域でどのようなサポートが利用可能なのか、医師や自治体に聞いたり、ネットでアルコールに関する支援サービスについて調べてください。利用可能な自助団体あるいは相互支援団体があるはずです。

おわりに

お酒が好きな人、飲む機会が多い人は、アルコール依存症にならないよう、しっかりと飲酒量をコントロールするようにしましょう。

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