記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/6/27 記事改定日: 2018/7/31
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
切れ痔(裂肛)は便秘や下痢など、排便状態の異常が原因で起こりますが、自力で治すことはできるのでしょうか。
この記事では、自分でできる切れ痔の予防方法と治し方を紹介していきます。病院に行くべき症状についても紹介していくので、セルフケアに役立ててください。
切れ痔とは直腸の内部の薄く湿った膜部分の小さな亀裂または裂傷のことです。正式には裂肛(れっこう)と呼ばれ、よく見られる症状として肛門およびその周辺の痛みが挙げられます。また、裂肛は排便時の痛みや出血の原因になります。
裂肛は排便中のいきみによる肛門管の損傷が主な原因です。とくに慢性的な便秘は、切れ痔の発症率を高めると言われています。また、下痢を繰り返すことでその部位への血流が低下した場合や、出産後にも起こることが多いです。病院の検査では、視診で亀裂を確認し、肛門管の中の触診を行います。
切れ痔の主な原因は便秘です。そのため、便秘を改善することである程度予防ができますし、自力で治せる場合があります。ただし、切れ痔のすべてを自分で治せるわけではないので、長く続いている場合や痛みや出血がひどいときは早めに医師に相談しましょう。
切れ痔の発症には、生活習慣や排便習慣が大きく関与しているため、症状を改善するためにはそれらの習慣を見直す必要があります。
まず、生活習慣としては、食物繊維や水分を積極的に摂って便秘が起こりにくい食生活を心がけること、適度な運動習慣を身に付けて便秘を解消することなどが挙げられます。また、ストレスによって便秘が引き起こさせることもあるので、自身に合ったストレス解消方法を見出し、十分な休息を取ることも大切です。
一方、排便習慣としては、便を我慢せずに、毎日決まった時間に排便できるような習慣を身に付けるのが理想的です。
切れ痔に悩む人は非常に多いため、切れ痔に効果が期待できる様々な種類の市販薬が販売されています。
代表的なものでは、ボラギノール®Aやシリーナ®などの注入軟膏、ドルマイン®Hなどの座薬が挙げられます。注入軟膏も座薬も、抗炎症作用のあるステロイドや麻酔効果のあるリドカインなどの成分が含まれており、肛門内に注入・挿入するため切れ痔に直接作用します。
また、乙字湯加大棗などの漢方薬も切れ痔に効果があるとされており、このような成分が含まれた飲み薬も市販されています。しかし、効果には個人差があり、注入軟膏や座薬の方がより高い効果を期待することができるでしょう。
多くは、排便後にウォシュレットなどで肛門を清潔な状態に保ち、注入軟膏や座薬を使用すれば1~2週間程度で症状の改善が認められます。
切れ痔は軽度であれば患部を清潔に保って市販薬を使用すると自然によくなります。しかし、肛門管の傷が大きい場合や傷口に細菌感染を生じているような場合には市販薬で対処するのは困難であり、放置すると傷口の癒着によって肛門管が狭くなり、最終的には大掛かりな手術が必要となるケースも少なくありません。次のような症状がある場合には病院を受診して治療を受けるようにしましょう。
切れ痔は再発する可能性が高いので、予防のためにも健康的な排便習慣を身につけるようにしましょう。食物繊維の多い食事と多量の水分を摂り、決まった時間にトイレに行くことなどを意識することが大切です。
また、市販薬を使って症状を抑えることはできますが、あくまでも一時的な処置になります。症状が治まらない、痛みや出血がひどいときは早めに病院を受診しましょう。