自閉症の子供に対してできること。特徴と対処法を理解しておこう!

2017/6/27 記事改定日: 2018/3/29
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

自閉症とは、正常な社会的コミュニケーション能力の発達に影響をおよぼす脳の障害です。自閉症を患っている人は、早い時期では3歳ごろから他の人とのコミュニケーションや交流に悩まされることになります。できるだけ早くにケアを始めることが重要なので、自身の子供が自閉症だったときのために、親として知っておくべきことを紹介していきます。

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自閉症の子供の特徴

子供の自閉症の場合、言葉やリアクションを発しないことが多く、他の人とコミュニケーションをとるときにアイコンタクトや身振り手振りを交えた感情表現がうまくできないこともあります。また、面識があるかどうかに関わらず相手を無視してしまうことも少なくありません。

自閉症になった子供は、他の子供への興味や関心を持たないことが多く、同じ年頃の子供たちと遊ぶよりも、大人や年下の子供と関わりたがる傾向がしばしば見られ、基本的に一人でいることを好みます。自閉症の子供は、相手の気持ちを理解するのが苦手なだけでなく、言語能力の発達も遅れがちで、自分の気持ちを言い表すことができず、ボディー・ランゲージなどで補うことも苦手なため、周囲の会話に上手に加われないことも多いです。その他、「ごっこ遊び」を嫌がるといった傾向が見られるときもあります。

症状

自閉症の子供は、同じ行動パターンを繰り返すことを好むとされ、逆に突発的な状況に陥ったときにひどく混乱する傾向があります。手をばたつかせたり、行動にも落ち着きがないことが多く、自閉症と診断された子供や若者の場合、認知(思考)・学習・感情・行動など、幅広い範囲で問題が見られるといわれています。

例えば、注意欠陥多動性障害(ADHD)、不安感、鬱病などの症状が現れる場合がありますが、症状は子供によって様々であり、知的障害を伴う場合でも学習能力は周囲と遜色ないこともあるといわれています。

適切なサポートのためには早めの診断・治療が必要

自閉症の兆候は、乳幼児期の早い段階から現れることがほとんどですが、子供が幼稚園や小学校に通い始めるなど、環境が変化するまでは発見が難しいことも多いようです。自閉症の兆候や症状に気づいたら、早めに医師やサポート機関にサポートを求めましょう。

自閉症を完治させる方法は、今のところ見つかっていません。心理療法で感情のコントロールを身につけさせたり、薬物の服用によって精神を安定させ、てんかんなどの合併症状を防ぐといった対症治療を行うことで、症状を緩和し社会適合を促していくことに治療の主眼が置かれています。適切な理解やサポートを得られるよう、通わせる機関と前もって話し合っておきましょう。

両親や家族はどう対応すればいいか

自閉症の子供への接し方

・自分が話しかけられていると認識できるように、子供の名前で呼ぶ
・雑音を最小限に抑える
・簡単な言葉を使う
・語と語の間を区切り、ゆっくりはっきりと話す
・簡単なジェスチャーを使いながら話す
・子供が話を処理するための時間を十分とる

接する側の人の健康を守るために

現在のところ、自閉症に決定的な治療法は存在しませんが、セラピーやカウンセリングなどによって緩和していくことは可能とされています。

子育てはたいへんな苦労をともなうものであり、自閉症の子供にはいっそうの気遣いが必要ですが、あまりに無理をしてしまうと、自身の心身は確実に病んでしまいます。ですから、身のまわりの家族や親戚はじめ、病院や専門の支援機関のサポートを、積極的に頼っていきましょう。

療育センターを利用できる?

療育センターとは、障害のある子供に対して障害に対する治療と教育を同時に行う施設のことです。専門的な教育のプログラムが組まれ、障害の程度や個性に応じて一人ひとりにあった支援が行われます。しかし、療育センターは自治体やNPO法人などが独自に行っている施設も多く、その支援内容は施設によって異なります。

自閉症の子供はもちろん療育センターを利用することができ、他者とのコミュニケーションをとる練習をしたり、言葉の発達を促すための訓練などが行われます。
しかし、自閉症の子供は環境の変化を極端に嫌い、無理強いをするとパニックを起こすこともあります。療育センターを選ぶときには支援内容だけでなく、何度か見学を重ねて子供が違和感なく通えるところを選ぶようにしましょう。

学校側ができる対処とは

自閉症の子供は興味や関心が極端に限定されており、決められたことができないことがあります。このような特徴から、学童期以前は大きな問題にならなかった場合でも、小学校に入ると興味のない授業を聞かずにひたすら好きな教科の勉強を続けるといった問題行動が生じることがあります。このことは学業成績の悪化につながり、問題児というレッテルがはられてしまう原因にもなります。また、他者とのコミュニケーションがうまく取れないためクラス内で孤立してしまう状況もよく見られます。

学校側は、自閉症の子供の特徴をよく理解し、授業内容を工夫することでその子の興味を広げることができます。例えば、車は好きだけど算数には興味がない、という子がいたら、足し算引き算の問題に車を用いるなどの工夫ができるでしょう。
また、クラスメイト同時のトラブルには常に目を向けて、何か問題が起きた時には積極的に仲裁して問題が大きくならないように細心の注意を払うことも大切です。

おわりに:サインを見つけたら早めに専門機関に相談を

自閉症の子供を保護者の力でだけでケアすることは非常に困難です。ケアする側が疲弊しきってしまわないうちに、早めに専門機関に助けを求めてください。子供の自閉症の治療法は確立されたわけではありませんが、早期に治療を開始することで社会適合ができるようになることもあると考えられています。自閉症とみられるサインに気づいた場合は、すぐに専門機関に相談しましょう。

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