毎年報告されるてんかん件数のうち約30%が子供だと知っていますか?

2017/8/14

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

てんかんは脳内の神経細胞のひとつが時折異常な信号を発するために発作を起こす、慢性神経障害です。
てんかんは伝染病でも性病でもなく、発作を起こしていないときはいわゆる健常者と変わりません。ただし、発作が起きた場合は対処することが必要です。ここでは、てんかんや発作の要因として考えられることや対処法について見ていきます。

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子供は「てんかん」を起こしやすい!?

子供と高齢者がはてんかんを起こしやすいとされます。子供の脳の構造は成熟しきっていないため、異常な電気信号が生じやすいのが原因と推測されています(てんかんとは脳の神経細胞に突然生じる異常な電気信号によって起こります)。毎年報告されるてんかんのケースのうち、なんと約30%は子供に起きているのです。

てんかんの原因

原因がはっきりしているケースはごく少数です。特定できる場合は、脳に何らかの損害が見られることが典型的です。主な原因には以下のものがあります。
・分娩時に酸素供給量が少なかった
・分娩時や小さい頃、或いは大人になってから頭部に怪我を負った
・脳腫瘍
・結節性硬化症等、脳損傷に繋がる遺伝子状態
・血糖値やナトリウムなどの電解質の異常
子供や大人に起きるてんかんのケースのうち、原因が一切見つからないものは全体の約70%にものぼります

発作の誘因とは

発作は脳内で発生した電気的刺激が通常の限界を超えて急激に流れたときに起こります。これらの刺激は隣接する部位に拡大し、制御不可能な電気信号となって筋肉に伝達され、痙攣やひきつけの引き金となります。根本的な要因ははっきりとわかっていませんが、てんかん患者の発作については、特定の要素がいくつか明らかになっています。このような発作の誘因を避けることで、てんかん患者も生活しやすくなるでしょう。
・薬物の服用量を間違える
・過度の飲酒
・コカインやエクスタシー等の薬物の利用
・睡眠不足
・対発作用に処方されている薬剤に干渉する薬物の利用
女性のてんかん患者のおよそ二人に一人に、月経時期に発作が起こる傾向があります。月経前に服用する薬剤を変更する、或いは特定の薬剤を服用することで緩和できる可能性があります。

どのような対処法があるの?

発作を起こしている人を見ると怖くなってしまうかもしれませんが、パニックにならないようにしましょう楽にさせてあげること、発作を起こしている人が怪我などをしないように気をつけてあげることが大切です

「てんかん発作」を起こしている場合

発作を起こしているときは指を含む、いかなるものも口に入れてはいけません。発作のときに舌を噛んでしまうこともありますが、これは自然と治るので心配要りません。むしろ、何かを口の中に入れるほうがダメージにつながる危険があります。
口の中に何も入っていないことが確認できたら、以下の手順で対処してください。
1:怪我をする可能性のある場所から患者を遠ざける。

2:地面や床に寝そべっている場合は、タオルを敷くなど頭を打つ衝撃を和らげる。

3:呼吸を助けるために、襟やネクタイなどの首周りをきつくしている服をゆるめる。

4:けいれんが止まったら体の側面が下になるように体の向きを変え、回復するまで落ち着いた口調で話しかける。
余裕があれば、発作が始まった時間と終わった時間を記録しておきましょう。意識が回復して混乱している場合は、声掛けをしてなだめてあげてください。

子供のてんかん治療のときに医師に確認しておくべきこと

子供のてんかんの治療については、以下のことを確認しましょう。
・子どもに必要な医薬品の詳細と必要な時間
・薬の副作用
・緊急事態とはどんな状態になったときか
・緊急事態がおきたときにすべきこと、してはならないこと
・食事で気をつけるべきこと
・子どもが身体的に活発になる前にとらなければならない方法などの特別な処置
・治療のために定期的に学校を休む必要があるかどうか

個別のヘルスケアプランとは

学校が管理できる共通の長期的な健康問題として、糖尿病、喘息、てんかんおよびアレルギーが挙げられます。このような病気を持つ子供が通学している場合、学校は症状を持つ子供を適切に支援する準備を整えていなければなりません。その一環として、学校側は職員が必要な安全対策がとれるように個別のヘルスケアプランを作成します。これは子供を守るだけではなく、他の児童が危険にさらされないように役立つものです。個別のヘルスケアプランには、可能な限り従うようにしましょう。

おわりに:「てんかん」について学びましょう

年間に起こるてんかん件数のうち子供が全体の3割を占めます。また、てんかんは誰にでも起こり得ることです。発作が起きた場合は落ち着いて対処しましょう。また、子供に「てんかん」の症状があることを幼稚園や学校などに伝え、発作が起きたときの対処法や特別な処置が必要な状態についてを事前に説明しましょう。そうすることで、幼稚園や学校内で「てんかん」の症状が出たときも教育機関側が慌てずに対処してくれます。

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