HIVの検査と診断方法 ~ 人事ではない感染リスク ~

2017/8/10

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

身体の免疫系を攻撃するウイルス、それがヒト免疫不全ウイルス: HIVです。正常な免疫系は人を病気から防いでくれますが、 HIVは免疫系を傷つけるため、細菌やウイルスに感染する可能性が高まり、体が細菌やウイルスと戦うことができなくなるため回復が難しくなります。今回はHIVの検査についてご紹介します。

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HIV検査の必要性

各公的機関が、性的に活動的な若年層から高齢者まで検査を受けるよう呼びかけています。特に18歳未満の子供と65歳以上の大人で、ウイルス感染のリスクが高い場合には、検査の必要があります。また妊婦も検査を受けることを推奨しています。ただし、血液中に抗体が現れるまでに時間がかかるため、感染したと思われる時期からあまり時間が経っていない期間では正しく結果が出ないことがあります。

HIVの早期発見、早期治療

現在、抗HIV療法の進歩に伴い、HIV感染者の生命予後は劇的に改善しました。最新の知見によれば、早期に診断され適切に管理されているHIV感染者の生命予後は、HIV感染症以外の疾患の合併がない場合には、非HIV感染者と大きく変わらないと考えられています。そのため、医療機関はHIV感染者の早期治療を推奨しています。

検査方法

HIVに感染したかもしれない行為の後72時間以内に、抗HIV薬の内服を開始することで、HIVに感染するリスクを低下させることができ、PEP(post exposure prophylaxis: 曝露後予防の意)と言います

早期診断とは、早期に治療を開始できることを意味し、症状をコントロールできる可能性が高まります。ただし、HIV感染検査は、潜在的にHIV感染に曝されてから1〜3ヶ月後に繰り返し数回受ける必要がある場合もあります。

検査を受ける場所

検査が受けられる場所は、総合診療所、性感染症診療所、近くのHIV検査サービス、慈善団体が運営する診療所など、さまざまです。詳細な血液検査の結果を得るには数日かかることがありますが、クリニック検査では数分で結果が得られることもあります。

医師による診断

HIV感染の重症度がどの程度強くなっているかを調べるために、いくつかのチェックが必要になります。医師は症状について尋ね、HIV感染が悪化していないかどうかチェックします。
CD4細胞数とウイルス量を確認するために血液検査も行います。HIV感染が悪化していると医師が判断する要素は以下のとおりです。
・吐き気、嘔吐、疲労、発熱、頭痛、悪寒、寝汗、咳、息切れ、下痢が新たにみられた場合
・体重減少、口内炎(鵞口瘡、イースト菌感染症など)、またはより大きなリンパ節(頸部、脇の下および臀部に位置する腺)の徴候
・血液中のCD4細胞数の低下
・血中のウイルス量の増加

おわりに:HIV感染の疑いがある場合はすぐに検査を

HIVに感染していると思われる場合は、速やかに検査を行いましょう。現在ではHIVの治療は進歩しており早期治療を行うことで病勢のコントロールが可能です。

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