薬物乱用頭痛とは!?頭痛薬のせいで頭痛になるって知ってました!?

2017/6/29 記事改定日: 2018/7/30
記事改定回数:1回

二宮 英樹 先生

記事監修医師

東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック

二宮 英樹 先生

頭痛を感じたときに、常備している頭痛薬で対処する方も多いと思います。でも、その頭痛薬が原因で頭痛が起こることをご存知でしょうか?
この記事では、鎮痛薬が引き起こす「薬物乱用頭痛」とその対処法をご紹介していきます。頭痛薬が効かなくなってきた、頭痛薬を飲むとかえってひどくなるという方は、ぜひ参考にしてください。

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薬物乱用頭痛とは?

頭痛になると、鎮痛薬を服用して痛みを抑えようとする人はかなり多いかと思います。しかし、週に何回も鎮痛薬を服用し続けていると、かえって頭痛の回数や痛みが増してしまうことがあります。これが「薬物乱用頭痛」です(リバウンド頭痛と呼ばれることもあります)。

薬物乱用頭痛の症状の特徴とは?

鎮痛薬を飲んでいるのに、毎日頭痛が続くのが薬物乱用頭痛です。薬物乱用頭痛の特徴として、

  • 朝起きたときに頭痛がする
  • 以前はよく効いていた鎮痛薬が効かない
  • 鎮痛薬で頭痛が悪化する

といったものがあります。1ヵ月に10日以上頭痛で鎮痛薬を飲んでいる人は薬物乱用頭痛の可能性があります。

この頭痛を治すために鎮痛薬を服用しても効果がなかったり、数時間は痛みが和らいでもすぐに痛み出します。鎮痛薬をたくさん服用すればするほど、薬物乱用頭痛は悪化していきます。

薬物乱用頭痛の原因 ― 原因になる薬は?

薬物乱用頭痛は、市販薬の鎮痛薬でも、病院で処方された鎮痛薬でも起こる可能性があります。鎮痛薬の種類ではアセトアミノフェン、NSAIDs(エヌセイズ)、エルゴタミン製剤、トリプタン製剤と、どの鎮痛薬でも起こる可能性があります。最も多いケースは、病院を受診せず、市販薬の鎮痛薬を飲みすぎている場合です。

片頭痛で使われるトリプタン製剤でも薬物乱用頭痛が起こる可能性はあります。

薬物乱用頭痛を治療するには?

薬物乱用頭痛を治す一番の方法は、「原因となる鎮痛薬の服用をやめること」です。安全に治療していくためにまず病院を受診し、医師に薬物乱用頭痛の可能性があることを伝え、今後の服用について相談しましょう。症状によってはすぐに服用を中止できるかもしれませんし、あるいは少しずつ用量を減らす必要があるかもしれません。

なお薬物乱用頭痛では、原因となっている鎮痛薬の服用を中止することで、吐き気、嘔吐、頭痛の悪化といった離脱症状が出る可能性があります。しかし、こういった症状は数日~数週間以内になくなり、頭痛も改善されていきます。

離脱症状に対しては、症状に応じた薬が使われたり、予防薬が使われたりします。しかし明確にこの予防薬が効く、とわかっているわけではなく、個々の状況に応じて、適した治療が行われていきます。

薬物乱用頭痛を予防するには?

薬物乱用頭痛を予防する最も簡単な方法は、鎮痛薬を使いすぎないことです。頭痛の原因の多くは、片頭痛と、肩こりから来る筋緊張性頭痛です。

薬物乱用頭痛で多いのは、医療機関を受診せず、市販薬の鎮痛薬を購入して、使いすぎている人です。指示通りの服用では頭痛が改善されない場合や、頭痛が頻繁もしくは重度の場合、鎮痛薬以外での対処法について医師と相談することをおすすめします。

例えば片頭痛であれば、週に2回以上頭痛の発作が起きる場合は、片頭痛の予防薬が検討されます。筋緊張性頭痛であれば、原因である肩から首にかけての筋肉の張りをほぐしていくことが大切です。

薬以外の頭痛の対処法にはどんなものがある?

薬以外にも頭痛の対処法には多くのものがありますが、具体的には次のようなものが推奨されています。

① 首や肩のストレッチ

首や肩の筋肉がこることで頭痛が生じることがあります。定期的に首や肩を回したり伸ばしたりして、筋肉が凝り固まるのを防ぐようにしましょう。

② 額や首を冷やす

頭痛は頭の血管が拡張することで引き起こされることがあります。このため、額や首を濡れタオルなどで冷やして血管を収縮させると頭痛が改善することがあります。

③ 食べ物に気を付ける

ポリフェノールやチラミンなど血管拡張作用のある栄養を多く含む食事を摂りすぎないことが必要です。ポリフェノールやチラミンはチョコレートや赤ワインなどに多く含まれ、肉類に含まれることもあるので注意しましょう。
また、カフェインは血管を拡張させ、マグネシウムやビタミンB2は頭痛を引き起こす神経を鎮める効果が知られているので、これらの成分や栄養素を積極的に摂るようにしましょう。

④ 十分な休息を取る

片頭痛などは静かな部屋で十分な休息を取ることで症状が改善することが知られています。他のタイプの頭痛でも、無理をせずにしっかり休むことで辛い症状が和らぐことがあります。
また、過度なストレスは自律神経のバランスを崩し、血管が一時的に拡張することが頭痛の原因となりますので、なるべくストレスのたまりにくい生活を送ることも必要です。
しかし、頭痛の原因には様々なものがあり、その原因によって対処法が異なることがあります。また、脳や耳鼻科系疾患が原因で頭痛が生じている場合にはすぐに治療が必要なケースもあります。頭痛は何らかの恐ろしい病気のサインの場合もあるため、自己判断でセルフケアを続けずに一度は病院を受診して医師に相談するようにしましょう。

おわりに:頭痛の悪循環を引き起こす「薬物乱用頭痛」。まずは医師に相談を。

頭痛を治すために飲んでいたはずの薬が頭痛を引き起こし、その頭痛を治すためにさらに薬を服用した結果、頭痛が悪化していく「負のループ」が薬物乱用頭痛です。頭痛薬を飲んでも頭痛が良くならない、かえってひどくなると思った方は、早めに医療機関を受診するようにして、医師に相談してみてください。
また、頭痛にはさまざまな原因があります。一時的な処置として市販薬に頼るのは仕方ありませんが、慢性的な頭痛があるときは、一度は病院でみてもらいましょう。

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