記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/6/28
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
記事監修医師
東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック
二宮 英樹 先生
オステオパシーが日本に伝わったのは1910年頃とされ、指圧やマッサージとも異なる独自の発展を続けながら、様々な手技療法に組み込まれ今日に至っています。薬物や手術を多用する西洋医学に比べて危険が少なく、自然治癒力を重視する理念が注目されつつあります。オステオパシーとはいったいどのようなものなのでしょうか。
オステオパシーとは、「骨、筋肉、靭帯、結合組織が円滑に機能することによって健康は維持される」という原理に基づいて、筋肉や関節、動かしていきながら身体の歪みをみつけだし、主に手を使って治療していく術式です。触診、ストレッチ、マッサージをつうじて、関節の可動域を広げて筋肉の緊張を和らげることで、 組織への血行を改善し、全身の健康を高めていきます。アメリカにおいてはドクター・オブ・オステオパシー(Doctor of Osteopathy:D.O.)と呼ばれる手術や投薬が可能な医師資格ですが、日本においては国家資格の医師ではなく民間療法の一つとされています。
施術前に問診を行い、主訴の症状とその他の健康状態、現在受けている医療処置についてなどの確認を行います。その後、可動域検査や整形外科的検査、徒手筋力検査などにより鑑別が行われ、状態によっては病院での治療をすすめられることもあるでしょう。
その後、オステオパシー独自の手法を使った検査を行い、弱っている箇所、圧痛点、緊張している箇所、その他異常の見られる部位を特定し、オステオパシー独自手技によって問題点にアプローチして関節の機能と安定性を回復させ、歪みを改善し身体を癒します。非常に軽い力で施術されるので、通常施術中に強い痛みを伴うことはありません。効果が期待されるものとして、痛みの軽減、運動機能の改善、血流の促進、不定愁訴の改善などが挙げられます。
一般の整体と同様、腰痛、肩こり、関節炎といった、筋肉や骨のトラブルの解消に役立つといわれています。オステオパシーが特異なのは、患部に直接的な原因を求めるのではなく、全身を検査し原因となる障害を取り除き、症状の改善については自然治癒力に任せるというところにあります。
頸部、肩、下肢の痛み、股関節や膝の手術後の回復に効果があるとするデータがあるものの、オステオパシーが筋骨格系と無関係の健康状態の治療として有効であるという科学的な証明はなされていません。頭痛、偏頭痛、生理痛、消化不良、うつ病、乳児疝痛などがオステオパシーによって改善したという報告は、オステオパシーの施術そのものではなく、施術を受けたことで気分がよくなった一種のプラシーボ効果とする意見もあります。
オステオパシーは一般的には安全な治療法とされています。施術によって軽い痛み、頭痛、疲労感などの副作用(好転反応ともいわれることがある)を生じる場合がありますが、これらは通常数日以内に改善するでしょう。
ごくまれにではありますが、頸部や脊椎の施術によって重篤な症状が現れることが報告されています。発生確率は、数千分の一から数百万分の一と極めて低いものであり、これはオステオパシーに限らずあらゆる手技療法に共通したリスクです。ただし、これには脳卒中につながる動脈壁の裂傷のリスクが含まれるので、施術を受けるにあたってはきちんとメリットとリスクを天秤にかけて判断するようにしましょう。
またオステオパシーは、脊椎やその他の骨、靭帯、関節、神経に重篤な病気や障害がある場合は、施術を受けることが推奨されていません。 したがって、骨粗鬆症 、骨折 、関節炎などの急性炎症、感染症、 血友病などの血液凝固障害、癌、多発性硬化症などを患っている人は施術を断られることがあります。また、 ワルファリンのような抗凝血薬を服用している場合や、放射線治療を受けている、妊娠中などの場合も、オステオパシーは受けないほうがよいとされています。
オステオパシーの効果についての科学的な解明は不十分とはいえ、リラクゼーションとして気軽に始めてみることについては問題ないといえるでしょう。ただし、日本においては国家資格の機関ではないため、オステオパス(オステオパシーを行う人)と名乗っている人全てが一定の技量や知識を持っているとは限りません。また、資格を持っているからといって必ずしも自分が望んだ効果が得られるとはいえないことも理解する必要があるでしょう。インターネットや周囲の人からの評価を参考にしながら、自分にあった施術所を慎重に選ぶようにしてください。