どう変わる?閉経による身体とこころの変化

2017/6/28

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

女性は大体、40歳から59歳にかけて月経期間が終了します。これを閉経といい、閉経することで自身にさまざまな変化が起こります。今回は閉経による身体と心の変化を解説します。

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閉経とは

閉経は女性の月経が終了することです。 女性の年齢が上がるにつれ、月経周期を調節するホルモン「エストロゲンとプロゲステロン」を作る量が少なくなるために起こります。閉経は数年かけて徐々に進み、実際の閉経の時期は人によって異なりますが、40歳から59歳の間が比較的多いようです。閉経期およびその前の3〜5年間の期間を閉経周辺期といいます。

閉経時に起こる変化

閉経期を迎えたときの主な症状は、以下のとおりです。

月経周期の変化

これは閉経の最初の徴候の一つです。 月経のない月があったり、間隔が狭くなることがあります。 月経量はいつもよりも軽い場合もあれば、重い場合もあります。

ほてり

ほてりは、閉経期によく見られる症状です。 ほてりがあると、胸から頭まで暖かく、波をうけるような感覚がする場合があります。 肌は赤くなり、汗の量が増え、胃の不快感やめまいを感じることもあります。また、 頭痛や動悸などが起こることもあります。

腟の乾燥

閉経中および閉経後に、腟および外陰部の皮膚が薄くなり、 性的興奮したときに潤いを生み出す能力を失います。 これらの変化は性交中の痛みにつながる可能性があります。性的苦痛を少なくするために、市販の性的潤滑油や保湿剤を使用することをおすすめします。 また、処方エストロゲンクリームを使用するときは、利点とリスクについて医師に相談するようにしましょう。

尿路の問題

閉経中および閉経後に、膀胱炎などの尿路感染症になりやすくなります。 頻繁にトイレに行ったり、急な尿意をもよおしたり、排尿時に灼熱感があったり、尿を出すことができなくなったりした場合は、医師に相談してください。

頭痛、夜間の汗、睡眠障害、疲労などの症状

閉経中や閉経後は、睡眠に関する悩みを抱えることが多いです。うまく入眠できなかったり熟睡できない場合もあれば、夜の汗で目を覚ますこともあります。また、レム(REM)睡眠(夢見ている睡眠の段階)を十分には得られないこともあります。 レム睡眠の欠如は、慢性的な疲れやストレスを引き起こす原因になることもあるでしょう。

体重の増加

多くの女性が閉経時に体重が増加します。 健康的な食事を心がけ、週の何日かは運動をするようにしてください。また、 以下の症状がある場合は医師に相談しましょう。
・月経周期の変化
・重い出血
・いつもより長く続く出血
・3週間ごとより頻繁に出血
・セックス後の出血
・月経の間での任意の出血

閉経後の変化

閉経後に起こる変化を以下にまとめました。

閉経後の骨粗鬆症

骨の強さは、骨組織の密度および構造で変わります。骨のミネラル量が減少したり、骨細胞の生成が遅れると、骨が弱くなります。
これは、歳を重ねるとすべての人に起こりますが、閉経後の女性の方が変化が速いです。このため、50歳以上で骨粗鬆症になる人は、男性だと12人に1人しかいませんが、女性は3人に1人であり発症する確率が格段に高くなります。
骨粗鬆症には、骨、特に手首、股関節ま、背骨などを骨折しやすくなるので注意が必要です。ホルモン補充療法(HRT)は、女性を骨粗鬆症から守るのに役立つでしょう。

閉経後の乳房の変化

閉経後は胸がしっかりとした形を保てなくなります。そのため、乳房の形が変わったり、サイズが小さくなったり、でこぼこができるなどの変化が起こります。

閉経と骨の健康

女性の骨密度が35歳くらいから徐々におちていくのは自然なことです。
女性は閉経後5-7年で20%もの骨密度を失ってしまう場合があるので、閉経後の女性は骨粗鬆症や骨折のリスクが高くなります。

二次性多汗症

身体の広い領域にわたり、昼間と夜間の両方で起こります。一般にいう多汗症は「二次的多汗症」をさし、以下の要因で発症します。
・不安
・ホルモンの変化(閉経など)

尿失禁

尿失禁は膀胱のコントロールがうまくいかなくなるため起こります。尿失禁は50歳以上、特に女性でよく見られる減少であり、若い人、特に出産したばかりの女性にも現れることがあります。
尿失禁で受診するのは恥ずかしいかもしれませんが、医師に相談することで改善することも多いです。尿失禁を放置すると、皮膚が荒れたり外陰部の皮膚感染症、尿路感染症を発症する危険性があります。 また、恥ずかしさのために、自ら友人や家族を避けてしまうこともあります。

子宮内膜症

子宮内膜症とは、子宮内膜組織が子宮以外の部位に増殖してしまい、月経時に出血や痛みなどの症状が現れることです。閉経すると、子宮内膜症の症状は治まっていきます。

感情的な症状

閉経時は、悲しみや不安、気分の変化など「感情的な症状」が現れやすいです。 非常に重い症状に苦しめられる人も多いので、感情的な問題を抱えていることがわかったら、すぐに医師に相談しましょう。

おわりに:不調を感じたら病院へ

閉経は数年かけて徐々に進んでいきます。その閉経期や閉経後は、女性ホルモンの減少によって様々な変化が現れるでしょう。もし、体や心の不調に気付いたときは、早めに医師に相談するようにしてください。

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