難聴とはどんな病気? 原因と治療について

2017/8/16

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

周りの音にかき消されて、相手の言っていることばがよく聞こえない、会話の中で何度も聞き返すことが多くなった、テレビのボリュームがほかの人より大きいといわれた、それって、難聴かもしれません。

この記事では、耳の疾患で多い難聴について原因と治療をまとめてみました。

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難聴とは?

難聴とは、加齢や大きな騒音が原因で起こる耳の疾患です。突然起こることもありますが、通常は徐々に進行していきます。

難聴の一般的な兆候を以下に挙げます。
・他の人の言っていることを聞き取ることが困難だったり、言っていることを勘違いする
・もう一度言ってくれるように頼む
・他の人が聞こえる音量よりも、音楽の音やテレビの音が大きい

なぜ難聴になるの?

難聴の症状は、音の信号が脳に伝わらないことで起こります。問題が起こっている部位により、2つの種類に分かれます。

感音性難聴

感音性難聴とは、内有毛細胞の損傷、もしくは聴覚神経の損傷によって起こります。加齢により自然に起こることもありますが、外傷により起こることもあります。

伝音難聴

伝音難聴とは、外耳から内耳へと音が伝わらないことが原因で起こります。耳垢による耳の詰まり、中耳炎、耳の感染症が原因で分泌液がたまる、鼓膜の損傷、耳小骨の障害などが原因が多いようです。

混合性難聴

上記の2つの症状が起こることもあります。混合性難聴として知られています。

生まれつき難聴の人もいますが、ほとんどが歳をとってからなる人が多いです。

難聴の種類は?

難聴には様々な原因があります。高齢者に一般的な難聴を以下に説明します。

老人性難聴

老人性難聴とは、人が歳を取るにつれ、ゆっくりと現れるものです。遺伝性もあるとされ、両耳に症状が起こります。

難聴の程度については、人によって違います。電話での会話が聞き取りにくくなっていれば、この種類の難聴の初期症状かもしれません。

耳鳴り

耳の中で、リンリンとした音、うなるような音、シューという音がします。

耳鳴りは様々な種類の難聴で一般的に起こる症状です。

高血圧やアレルギーなどの、他の病気の兆候であることもあります。なぜ耳鳴りがするのか、原因ははっきりしません。

その音は、止んだり始まったりを繰り返したり、すぐに消えたりします。ずっと続くものもあります。

その他の原因の難聴

騒音が原因の難聴

難聴の原因で大きなものは、騒音です。

芝刈り機の音、除雪機、大音量の音楽は内耳を痛める原因になります。最悪の場合、聴力が回復せず、ずっと耳が聞こえなくなる可能性があります。

ただし、騒音性難聴は予防することが可能です。ステレオ、テレビ、ヘッドフォンの音量を下げ、騒音からは距離を置き、耳栓や防音保護具を使いましょう。

耳垢や耳に水がたまって起こる難聴

ほかにも、耳垢や耳に水がたまり、鼓膜から内耳に届く音が遮られてしまうことで起こる難聴もあります。

耳垢が問題であればミネラルオイル、ベビーオイル、グリセリンなどを使い、耳垢を柔らかくして取り除きましょう。

鼓膜の傷が原因で起こる難聴

鼓膜の傷は難聴の原因となります。鼓膜の傷は、感染症、気圧・水圧、綿棒などを含む異物を耳に詰めることなどで起こります。

耳に痛みがあったり、耳から水が出るようであれば、医師の診察を受けましょう。

突発性難聴

突発性難聴と言って、突然片方の耳が聞こえづらくなることがあります。

原因は不明ですが、適切な早期治療と安静が極めて重要な疾患です。

一般的には発症から1週間以内に治療されれば治療成績は比較的良好ですが、それ以降は治療成績は落ち、2週間を過ぎると治癒の確率は大幅に低下するとされています。

すぐに耳鼻科医の診察を受けましょう。

そのほかの原因で起こる難聴

ウイルスやバクテリア、心臓疾患、脳卒中、頭部外傷、腫瘍も聴力に影響を与えることがあります。医師の診察を受け、薬を処方してもらいましょう。

難聴の治療方法は?

難聴の治療方法は、原因とその度合いによって変わります。

感音性難聴の人向けに、個人の聴力やコミュニケーション力の改善に役立つ治療方法があります。

以下にその治療法を挙げます。

・デジタル補聴器
・骨固定型インプラント(補聴器を使うことができない人たちに適しており、感音性難聴の人でも程度によっては適している場合もある)
・人工中耳 (補聴器を使うことができない人たちに適している)
・人工内耳 (補聴器による聞こえが十分ではない人たちに適している)
・読唇術・手話

伝音難聴は、一時的なものの場合もあり、薬剤による治療や簡単な手術で治療することができる場合もあります。しかし、鼓膜や耳小骨に問題がある場合は、大きな手術が必要になることもあります。通常の補聴器が効かない場合は、骨固定型補聴器(BAHAS)などの難聴用のインプラント式の装置を利用してもいいでしょう。

おわりに:難聴の原因は様々、誰にでもなる可能性がある

今までみてきたように、難聴とは、いつなるかわからない疾患です。難聴について知識を蓄えておいて適切に対処できるようにしておきましょう。

次の記事では、難聴の予防や今回の記事にもあった難聴用の補聴器などのツールについても詳しくお伝えします。

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難聴を予防するための方法がここでわかる!

難聴とはどんな病気? 兆候と予防、対策について


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