耳の痛みや排水を引き起こす「外耳炎」とは?治療薬は?

2017/8/7

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

耳の周りが痛かったり、耳から水っぽい液体が出たりしていませんか?もしかしたらそれ、「外耳炎」かもしれません。

「外耳炎って何?」「治すにはどうすればいいの?」という方に向けて、外耳炎の症状や効果的な薬などをご紹介していきます!

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外耳炎とは?

外耳炎とは、外耳道への細菌感染によって発生する耳感染症の一種です(鼓膜が痛んで膨らむ中耳炎とは異なります)。外耳炎の症状としては、下記のものがあります。

耳の外側の痛みやかゆみ
耳が動くときに痛みが悪化しやすい傾向にあります。

・耳が詰まった感じ

耳だれ

・耳が聴こえにくい

外耳炎は基本的には危険な疾患ではありませんが、未治療のまま放置すると耳が腫れ、痛みが悪化し、膿のような液が耳から出ることがあります。また、聴力が低下してしまう恐れもあります。特に糖尿病患者や免疫系に問題がある人の場合、感染症の治療がより困難になり、骨や軟骨まで炎症が広がり、入院が必要になることがあります。

外耳炎の治療法は?

軽度の外耳炎であれば自然に治癒していきますが、さらに適切な治療を施すことによって、治療開始から数日以内に症状を改善させることができます。主な治療法は以下のとおりです。

点耳薬による治療

外耳炎の治療で一般的に処方されるのが点耳薬です。

点耳薬の種類

外耳炎治療用の点耳薬には、以下の種類があります。

・抗生物質の点耳薬
抗生物質の点耳薬には、細菌感染症を治療する効果があります。

・副腎皮質コステロイドの点耳薬
腫れや炎を抑えるのに効果的です。

・抗真菌薬
真菌(いわゆるカビ)の感染を治療することができます。

場合によっては、抗生物質と副腎皮質コステロイドの点耳薬など、上記のものを組み合わせた薬が投与されることもあります。

点耳薬の使用法

点耳薬は正しい方法で使用しなければ十分な効果が得られないため、適切に使用することが重要です(できれば自分ではなく他の誰かにやってもらうことをおすすめします)。点耳薬をさすときは、以下の手順に従ってください。

1.綿棒で外耳から排出物や耳垢、ゴミをやさしく取り除く

2.点耳薬を手の中で数分間温める
点耳薬が冷たいとめまいを起こすことがあります。

3.横になった状態で耳を上向きにし、点耳薬をさす

4.30秒ほど、やさしく耳を押したり引っ張ったりする
落とし込まれていた空気が取り除かれ、より薬が作用しやすくなります。

5.点耳薬が漏れないよう、3〜5分間横になる

6.外耳道を開いたままにして乾燥させる

その他の治療

症状によっては、下記の方法で治療が行われる場合があります。

・スポンジやガーゼ
腫れや耳だれが酷い場合は点耳薬が入っていかないことがあるため、詰まっている部分を通すために小さなスポンジやガーゼを使用することがあります。この処置をすれば、通常6〜8時間以内に外耳炎は治療されます。

・外耳炎を悪化させる皮膚疾患の治療
脂漏性皮膚炎、乾癬、湿疹などがこれに該当します。

・針による穿刺
耳の中で炎症による腫れが発生すると、滅菌針で穿刺して膿を抜くことがあります。危険なので自分でやってはいけません。

外耳炎の合併症を予防するために

外耳炎の症状を緩和し、合併症を予防するためには自宅でのセルフケアも大切です。下記のことを心がけるようにしてください。

・耳を濡らさないようにする
シャワーを浴びる際は、シャワーキャップを着用しましょう。外耳炎が完全に治るまでは、水泳も控えてください。

・外耳を掃除するときは綿などでやさしくふれる
刺激しないように注意しましょう。また、綿棒などで耳の内側を刺激しないようにしてください。

・補聴器、耳栓、イヤリングなどは使用しない

おわりに:外耳炎の症状が見られたら病院へ

一般的に外耳炎は適切に対処を行えばそれほど深刻な病気ではありませんが、適切な治療を施さないと炎症が悪化し、聴力の低下を招く恐れがあります。耳の痛みや耳だれが気になる場合は早めに病院を受診し、点耳薬を処方してもらってください。

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