原因は飲酒? 特に注意すべき3つの生活習慣病とは

2017/7/3

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

「適量の飲酒は体を温める」「寝る前にお酒を飲むと寝つきが良くなる」など、お酒を適度に飲むことは健康に良いという話を一度は聞いたことがあるとは思いますが、果たしてそれは本当でしょうか?最近の研究では、1日グラス1杯のワインを飲むだけで癌のリスクが高まることが明らかになるなど、飲酒にはメリットがほとんどないという結果もでています。

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アルコールが原因と考えられる生活習慣病について

生活習慣病とは、食習慣・運動習慣・休養・喫煙・飲酒などの生活習慣がその発症や進行に関与する疾患のことです。ここではアルコールが原因と考えられる生活習慣病ついて見ていきましょう。

その1:がん

慢性的なアルコール摂取によって起こる臓器障害の代表として“がん”が挙げられます。例えば口の中、喉、食道の表面がアルコールでただれることで、食道がんが発生しやすくなります。なお、お酒ですぐ赤くなるタイプの人は特に食道がんが発生しやすいと言われています。

その2:高血圧、糖尿病

アルコールは血圧を一時的に下げることもありますが、長い間飲み続けると血圧を上げるため、高血圧症の原因になると考えられています。多くの研究で日々の飲酒量が多いほど血圧の平均値が上がり、高血圧症になるリスクが高まることが明らかになっています。アルコールで血圧が上がる理由については、血管の収縮反応が高まる、心臓の拍動を速める交感神経の活動が盛んになる、腎臓からマグネシウムやカルシウムが失われる、などが考えられます。また、アルコール飲料に含まれるカロリーにより体重が増えることや、一緒に塩辛いつまみをとることも関係すると見られています。

その3:アルコール性肝疾患

アルコール性肝疾患はアルコール性肝障害と呼ばれ、長期(通常は5年以上)にわたる過剰の飲酒が原因と考えられる病気で、5つの病型に分類されます。アルコール性肝障害の治療の基本は断酒をすることですが、それを補助する目的で抗酒剤を用いることもあります。ちなみに、ここで言う過剰の飲酒とは“1日に純エタノールに換算して60g以上の飲酒”を指します。ただし女性や遺伝的にお酒に弱い人の場合は、1日40g程度の飲酒でもアルコール性肝障害を発症し得ると言われています。

番外偏:アルコール中毒

お酒を飲みすぎるとアルコール中毒を引き起こす可能性があります。アルコール依存症とは、大切な家族、仕事、趣味などよりも飲酒を優先させてしまう状態です。飲酒のコントロールができない、離脱症状(古くは禁断症状とも)が見られる、健康問題等の原因が飲酒とわかっていながら断酒ができないなどの症状が認められます。また、合併症として肝硬変 や肝臓の病気を引き起こす可能性があることに加え、飲酒運転などの事故のために起こる死亡や怪我の大きな原因です。

おわりに:飲酒による健康上のメリットはほとんど無い?!

日本では昔から祝祭や会食など多くの場面で飲まれるなど、アルコールは生活や文化の一部として親しまれてきました。しかしその一方で、中毒性、飲酒運転による交通事故やがん、肝疾患、脳卒中などの生活習慣病の原因となるなど、国民の健康保持という面では少なからず問題があるのも事実です。アルコール飲料を飲む際には、この記事で取り上げたリスクなどを頭に入れて度を過ぎないようにできると良いですね。

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アルコール(51) 中毒(5) 生活習慣病(60) 飲酒の危険性(2)