記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/7/5
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
早めに治療を始めるほど回復が早いと言われるうつ病治療。
多くの場合抗うつ剤を使った治療が効果的とされますが、他にも幅広い治療法があります。この記事では、そんなうつ病治療について見ていきましょう。
うつ病と言うと“何をするのも無気力に感じる”“これまで簡単にできたことが辛い”など、精神的な症状が思い浮かびやすいのではないでしょうか。
しかし、うつ状態の症状には身体的なものもあります。
ここでは自覚しやすい精神的・身体的な症状を見ていきましょう。
憂うつになる、気分が重く沈むように感じる、悲しい、不安になる、イライラする、元気がない、集中力がない、好きなこともやりたくないと感じる、細かいことが気になる、悪いことをしたように感じて自分を責めることが多い、物事を悪い方へ考える、死にたくなる、眠れない・・・などが挙げられます。
食欲がない、体がだるい、疲れやすい、性欲がない、頭痛、肩こり、動悸、胃の不快感、便秘になりやすくなる、めまい、口が渇く・・・などの症状があればうつ病の可能性があります。
まず、うつ病の治療法は一人ひとり違うということを理解しましょう。
典型的なうつ病の場合は、薬物療法の効果が期待できます。性格や環境の影響が強い場合は、精神療法的アプローチや環境の整備をすることが効果的と考えられます。ほかの病気や薬が原因の場合は、病気の治療や薬を変えることを考える必要があるでしょう。
このように、うつ病にはいろいろあって、治療法もひとつではないことを知っておくことが大切です。
また、自分のうつ病と他の人のうつ病は違うものであり、症状や原因が異なります。
治療法も一人ひとり違っていて当然だといえるでしょう。
抗うつ薬を使う場合は、期待される有効性と副作用を慎重に検討する必要があります。薬物療法が可能な状態の場合、最近はSSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)が用いられることが多いです。しかし、SSRIによる治療は簡単ではありません。服薬開始時期にはセロトニン症候群、減量・中止時には退薬症候群と呼ばれる、不安感やイライラ感が強くなったようにみえる状態が見られ、頭痛、下痢、嘔気などの副作用が起こる可能性があります。
その他の薬剤についても、論文や添付文書にしたがって決められた通りに服用することが大切です。「症状がそれほど重くないと感じるから」「副作用が心配で」などの理由によって自分で服用量や回数を勝手に減らしてしまうと、主治医は十分な効果が得られないと判断して薬の量を増す、もしくは別の薬に変えるなどの対応を考えることになってしまいます。副作用など気になることがある場合は、一人で判断せずに主治医に相談して解決方法を考えましょう。
環境のストレスによる原因が大きい場合は、抗うつ剤治療が可能かどうかを確認してから対応することが多いでしょう。たとえば、過去に様々な場面でうまく適応できずにうつ状態になっているような人や、性格面で克服すべき問題がある場合は、投薬治療と精神療法を組み合わせて治療していくことも検討されます。
うつ病の精神療法の代表例として認知行動療法、対人関係療法などがあります。
たとえば、最近では認知行動療法のひとつとして職場復帰を目的としたリワークが注目されています。また、難治性うつ病や抗うつ薬の副作用が出やすい高齢者の場合は、無けいれん電撃療法という選択肢もあります。
休職についても方針はひとつではなく、仕事を休んだほうが良い場合も、反対に続けた方が良い場合もあります。一概に休養が必要というわけではありません。
ひと口にうつ病と言っても、症状や原因、現在置かれている状況、周囲の環境によって最適な治療法は異なります。また、治療にかかる時間にも個人差があります。
たとえ一般的には効果的だと言われる方法でも、「副作用が心配」「身体的に苦しく感じる」などの不安や苦痛がある場合は、医師や専門家と相談して他の方法を見つけていくようにしましょう。