過食症の治療法について ― 繰り返す過食の克服のためにできることは

2017/7/11

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

過食症は、摂食障害をともなう心の病気です。よくイメージされる肥満による健康リスクはもとより、重症化してアルコール・薬物依存、うつ病などさらに深刻になってしまうこともあります。過食症について正しく理解し、その克服の仕方をおさえておきましょう。

過食症とは


過食症を含む摂食障害は、食べ物または理想の体型に対して異常な考え方を持っていることが関係しているといわれています。意外に思われるかもしれませんが、過食症の人は、太ることに対する異常な恐怖心がきっかけで発症することがあります。

ダイエットなどで厳しく食事制限を課した結果、心のストレスが爆発してしまい堰をきったように過食するようになり、食べ過ぎて制御が利かなくなってしまう期間「過食」と、その後わざと吐いたり下剤を使って食べたものを外に出そうとする期間「浄化」を繰り返してしまいます。食べたものを外に出そうとする理由は、過食によって体重が増えることを恐れ、食べ過ぎてしまったことに罪悪感を覚えることが原因とされ、「浄化」に関わる行為は人に見られないように行うことが特徴です。

このようなサイクルは、空腹やストレス、精神的な心配事によって引き起こされ、ほかの摂食障害と同様、男性よりも女性のほうが過食症になりやすい傾向にあります。以前は主に18歳から40歳の女性によくみられましたが、近年では男性も増加傾向にあり、ごくまれですが小さい子供もなってしまうこともあります。

過食の原因

過食の原因ははっきりとは分かっていませんが、ほかの摂食障害と同様、深い悲しみや自己否定からの防衛反応として起こるとも考えられています。過食障害のリスクを高める原因となるものには、以下のようなものがあります。

・低い自己評価や、自信の喪失
・気持ちの落ち込みや過度な心配
・ストレス、怒り、退屈、孤独などの感情
・体型に不満があり、痩せていなければいけないというプレッシャーがある
・過去にストレスの多い状況やトラウマがあった
・家族に過食障害を経験した人がいる

過食障害の兆候

過食症の兆候には、食べ物や食べることに対する強迫観念が生まれたり、体重や体型を過度に気にすることなどが挙げられます。食後に頻繁にトイレに行く、戻ってきたときに顔が赤らんでいる、指の関節に傷ができている(嘔吐するために指を喉に突っ込むため)場合には過食症を疑ってもよいでしょう。

過食症は、栄養失調、過度の嘔吐、下剤の過度な使用などを繰り返し、やがて身体に悪影響を及ぼします。過食障害の兆候には、以下のようなものがあります。

・過食中は普段よりも食べるペースが速い
・満腹になりすぎて気分が悪くなるまで食べる
・空腹でないにもかかわらず大量に食べる
・食べる量が多すぎて恥ずかしいため、一人で食事をするか、隠れて食事をする
・過食したあとに、罪悪感、恥ずかしさ、嫌悪感を覚える

治療方法

回復への第一歩は、症状を正しく認識することと、回復したいと心から思うことです。自己啓発本などを使いながら、気持ちを前向きにしていきましょう。過食症を治療していくに当たっては、特に医師による認知行動療法が効果的とされます。必要に応じて抗うつ剤などを併用し過食衝動を抑えていきます。過食障害の主な治療方法は以下のとおりです。

・自助努力プログラム‐本やオンラインのコースで個別で行う場合と、サポートグループに参加して行う場合があります。
・自助努力ガイド(専門家と定期的に連絡を取りながら行う自助努力)
・専門チームによる治療介入
・個人的な(一対一の)心理療法
・選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)と呼ばれる薬の服薬

まとめ:サポートとともに過食症を克服しましょう

過食症の治療においては、まず今の状況が問題であることを自覚することが重要です。多くの人は自分が過食症であることに気づけず、無意識のうちに過食をしてしまう「放心状態」に陥ってしまっています。適切な治療を受ければ、過食症はほとんど克服が可能です。医師の指導はもちろん、家族などのサポートを求めながら、前向きに取り組んでいきましょう。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

摂食障害(31) ダイエット(247) 過食症(19)