ヘルニアによる腰痛を改善するには〜 手術や薬での治療法、セルフケア 〜

2017/7/11 記事改定日: 2018/3/27
記事改定回数:2回

前田 裕斗 先生

記事監修医師

国立成育医療研究センター フェロー

前田 裕斗 先生

二宮 英樹 先生

記事監修医師

東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック

二宮 英樹 先生

急に腰をひねったこと、長時間同じ姿勢をとり続けたことなど、腰痛の原因にはさまざまなものがありますが、ヘルニア(椎間板ヘルニア)もその一つです。今回の記事ではヘルニアによる腰痛を改善する方法について、詳しく解説します。

ヘルニアによる腰痛は手術が必要?

いわゆる背骨である脊柱は、椎骨と椎間板(椎骨と椎骨の間にあるゼリー状の物質で弾力のある軟骨のこと)で構成されています。椎間板はクッションの役割を担っていて、脊椎を動かしたり曲げたりすることにも役立ちます。しかし、2つの椎骨の間にある椎間板が磨耗し、外れて滑り始めると、周囲の神経を刺激し、圧迫して激しい痛みを引き起こす可能性があります。この状態を「椎間板ヘルニア」と呼びます

腰痛の原因にはさまざまなものがありますが、このヘルニアによって腰痛が起こることもあります。実は腰痛のうちヘルニアが原因のものは全体の5%と少数なのですが、名前のイメージから、「ヘルニア=手術」と思っている方も少なくありません。しかし、実際に手術が必要な重篤なヘルニアはごく少数です。

手術が必要なのはどんな場合?

ヘルニアの手術は、薬や理学療法などの保存療法を3ヶ月行っても痛みが続く場合や、日常生活に著しく困難が生じている場合、患者本人の強い希望がある場合に実施されます。

どんな手術が行われるの?

ヘルニアの手術では、ヘルニアを除去する手術が行われます。具体的には以下の方法があります。

後方椎間板切除術

背中側から患部を切開し、ヘルニアを切除します。

椎間固定術

骨を金属などで固定します。特に腰痛がひどい場合、後方椎間板切除術と一緒に実施されます。

経皮的椎間板療法

背中を切開せずに、6〜7mmの切開創から内視鏡と手術器具を挿入し、ヘルニアを除去します。他に、3mm程度の小さな切開から内視鏡を使ってヘルニアを除去し、ラジオ波で椎間板を焼き固める手術も近年登場しています。軽度〜中等度のヘルニアで適応されます。

ヘルニアによる腰痛は薬でも治せる?

ヘルニアによる腰痛は、手術をせずとも薬で緩和する場合も多いです。具体的には、痛みを緩和する消炎鎮痛薬や筋弛緩薬の内服や、ステロイド薬による神経ブロック注射などが代表的です。この薬物療法と併せ、筋トレやストレッチなどの理学療法を行っていきます。

腰痛の原因・ヘルニアの兆候とは?

腰痛がヘルニアによるものかどうか見分ける方法として、まず痛みがある場所に注目しましょう。痛みは脊椎のどの部分にも発生する可能性がありますが、腰部の椎間板ヘルニアは、背骨の下部(腰椎)で起こるのが最も一般的です。そして、痛みは背中から臀部、太もも、さらにはふくらはぎにまで広がります。

ヘルニアによる不快感は、動いているときに悪化することが多く、休んでいるときは落ち着きます。また、ヘルニアは神経に圧力をかけるため、咳、くしゃみをしても、座っていても、痛みが悪化する可能性があります。

なお、加齢も要因のひとつです。年齢を重ねるにつれて椎間板がもろくなり、クッション性が失われやすくなります。

ヘルニアか診断するには?

ヘルニアかどうかを知る最も良い方法は、医師に診てもらうことです。医師は、痛みがほかの原因で起こっていないか、悪化した神経を正確に特定するために、次のような検査を行うことがあります。

レントゲン(X線)

椎間板ヘルニアがある場合、標準的なX線では表れませんが、脊椎の輪郭を医師が見て、痛みが骨折や腫瘍などによって引き起こされているかどうかを除外することができます。

CTスキャン

CTスキャンでは、異なる角度から複数のX線を撮り、これらを組み合わせて、脊髄と脊髄を取り囲む構造の画像を作成します。

MRI

MRIは、電波、磁場、コンピュータを使って、脊髄およびその周辺の詳細な3次元画像を作成します。MRI画像は腰痛の原因を知るために、とても重要で有用な検査です。ヘルニアの位置を特定し、その内部を見て、どの神経が影響を受けているかを決定することができます。

筋電図および神経伝導検査(EMG / NCS)

これらの検査で、神経が損傷もしくは圧迫されているかどうかを調べることができます。筋電図検査は、装置とつながった神経が刺激されたときに、筋肉細胞が作り出した微小な電気量を検出する装置を使って行います。筋肉の中に置かれた針電極は、電気的活動を記録し、症状が出ていないかを探します。

神経伝導検査は、筋電図と同時に行われることが多いです。この検査では、神経は体のある地点に電極を入れて小さな電気的インパルスで刺激し、もう一方の電極は異なる地点でインパルスを検出します。電気インパルスが電極間を移動するのにかかる時間で、神経損傷があるかどうかを知ることができます。しかしヘルニアの検査として、多くは行われません。

ヘルニアによる腰痛を改善するには?

ヘルニアによる腰痛の場合、症状を改善し再発を予防するために、以下のことを心がけてください。

・日頃からストレッチや筋トレをする
体重の増加に気をつける
長時間同じ姿勢を取り続けない
・重いものを持ちあげるときは、腰を落として自分の近くに引き寄せてからにする(腰はひねらない)

おわりに:継続的なセルフケアでヘルニアの再発を防ごう

ヘルニアによる腰痛は、多くの場合、薬での治療などの保存療法で改善します。ただ、再発のリスクもある病気なので、日常生活での注意点をしっかり把握し、手術にならないよう継続的にコントロールすることが大切です。

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