これはうつ病?それとも甘え? 心の病気の人への接し方について

2017/7/5

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

うつ病はデリケートな問題であり、うつ病か否かを見分けることは、とても難しいです。そこ今回は、うつ病と思わしき人とどのように接していけば良いのかについてをまとめました。

特に“甘え”と誤解されやすい「非定型うつ病:新型うつ病」について

うつ病には「定型うつ病」と「非定型うつ病:新型うつ病」があります。

「定型うつ病」とは

こちらは昔から見られたタイプで、几帳面、生真面目、責任感が強く仕事に熱心、秩序や規律正しさを重んじるなど、いわゆる真面目な性格の人がなりやすいといわれています。好きなことをするときでも気分が落ち込む・意欲がわかないといった抑うつ症状が早朝から午前中にかけて見られる傾向があります。

「非定型うつ病:新型うつ病」とは

自分の嫌なことをしているときに抑うつ症状が激しく見られるのが「非定型うつ病:新型うつ病」です。傍目には、自分の都合が悪いときに症状が発生しているように見えるので「わがまま病」のように取り扱われることがあります。そのため、“甘え”だと勘違いされる傾向が強いのです。
しかし、本人たちは現れる症状で苦しんでいます。わががままや気まぐれではなく「心の病気」なのです。

こんなときは甘えの可能性も・・・

うつ病と甘えを見分けるのに最も分かりやすい方法は、何かを頼んだときに“やろうとする意思があるかどうか”を見ることといえるでしょう。
うつ病の場合には、何かを指示したときに、好き嫌いや上手くできるかどうかは別として、取り組もうとする意思があります。その反対に、“甘え”の場合は「自分にはできない」「うつ病だからできない」「体調が悪いからできない」というように言い訳を見つけて、できない理由ややらない理由を正当化しようとする傾向があります。

“心の病”への理解・気づきが難しい理由とは

心の病気を理解する、あるいは自覚することが難しい理由は大きくわけて2つあります。
1つめの理由は、脳についての十分な解明がなされていないため、現在の画像検査や血液検査などでは心の病の原因を完全に特定することができないからです。

2つめは、病気か否かの線引きが難しいことが挙げられます。心の疲れやバランスの乱れなどは誰にでも起こることなので、“どの段階から病気と考えれば良いのか”の判断が難しく、心のバランスを大きく崩してしまったときでも、その変化を「病気だ」と判断できなかった症例も多く見られます。

その背景のひとつには、「心の病気にかかる人は意志の弱くて怠け者だ」という社会の誤った風潮が挙げられるでしょう。この風潮の影響で、うつ病であることを認めたがらない人や自覚があってもオープンに話題にできない人が多くなり、心の病気に対する理解が遅れてしまったとも考えられるでしょう。

おわりに:慎重な判断と優しい言葉遣いを

一見甘えやわがままに思えるようなことも、病気による症状だということを理解することが大切です
その上で、本人には同調的に、優しい言葉遣いでゆっくりと話すようにしましょう。一方で本人が周囲に迷惑がかかることやあまりにもマナーに反したことをした場合には、批判・非難をするのではなく、誤りを冷静に指摘して対処してください。

一般的にうつ病患者に「がんばれ!」と激励するのはタブーとされていますが、「非定型うつ病:新型うつ病」は励ましが本人の背中を押し、改善につながることがしばしばあります。
保護と激励の加減を考慮しながら、本人が回復へと向かうようにサポートしましょう。

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