記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/3/15
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
街のあちこちでランニングをしているかたを見かけますね。天気がいい日にはとても気持ちいいですよね。健康づくりのため、持久力やスピードのアップを目標に、それぞれランナーの方は思い思いのペースで走っていると思いますが、気をつけたいのは、ケガですよね。特にランナーの人は、オーバーユース症候群(使いすぎによる損傷)というケガがあります。名前のとおり、オーバーワークで起こるものですが、運動の仕方や身体のケアで防ぐこともできます。ケガをしない走り方と身体のケアを知って、明日からのランニングを快適にしましょう!
ランナーのオーバーユース症候群(使いすぎによる損傷)は、不適切な練習(過度の距離を走る、無理な速さで走る、適度な休憩を入れずに走るなど)が原因で頻繁に起こります。
体重をかけたり、動かすと痛んだりする症状がでます。また、痛みを感じる部分が熱を持ち、腫れや赤みがみられることがあります。悪化すると、ランニングが苦痛になるほど痛みます。通常、ランニング中には1.5キロ走るごとに、足は110トンのエネルギーを吸収しています。 こんなに脚に負担がかかっていれば、毎年ランナーの70%がケガを負っているという数字も不思議ではありませんよね。
次の事項に気をつけることで、ケガをする危険性をグッと減らすことができます。 振り返ってみて、あてはまっているものがないか注意してみてください。
・走行距離を1週につき10%以上増加させない
・週に70キロ以上走行しない
週に70キロ以上走行すると、オーバーユース症候群を起こすリスクが高まります(逆に、週に70キロ以上走行するとパフォーマンスが向上するという根拠は示されていません)。
・傾斜面や凹凸のあるところを走らない
脚によけいな負荷がかかるため、走るにはやわらかく平坦な地形が最適です。
・痛みをやり過ごさない
痛みは何か異変があることを示すため、無理にがまんしたり放っておかないでください。
・走っているときに痛みがある場合は、その部位に氷をあて、2〜3日間休ませる
痛みが1週間以上続く場合は医師に相談してください。
・激しいトレーニングやランニングをした日の翌日は、軽い練習にしてください。
・800キロ走行したらランニングシューズを新しくする
一般的にランニングシューズの耐久性は、約800キロ前後と言われています。この距離を超えると、衝撃を吸収する効果がなくなります。
矯正器具は、足~下肢間のアライメント(並び)の悪さを矯正するために靴に入れます。 足の内側が曲がっていたら(「回内」と呼ばれます)、装具が必要になることもあります。しかし、この並びがよくなくても、走っているときに痛みがなく、ケガを繰り返さない人の場合は、おそらく整形術は必要ありません。トップアスリートでも、この状態で装具を着用していません。医師からは、並びが悪い場合、ケガをした場合やその後、ほかの措置ではうまくいかない場合に、矯正器を着用するよう提案されるかもしれません。
ストレッチは筋肉を健康に保ついちばん効果的な方法のひとつです。 定期的にストレッチすることで筋肉が強化され、柔軟性が高まります。 柔軟性が高いほど関節のために良いです。 筋肉や関節を最高の状態に保つことは、日々の動きを助けケガを防ぐのに役立ちます。
ランニングの前後には、次のようなストレッチ運動をしましょう。ケガの回復に効果があります。
・ハムストリング(太ももの裏側)ストレッチ
・股関節の伸縮
・四頭筋のストレッチ
・カーフストレッチ
・足底筋膜ストレッチ
ストレッチを行うときのポイントは、動かすときに反動をつけないでことです。そして、痛くない程度の強さで伸びを感じるまで伸ばします。ケガをした場合、特別な強化練習を行うよう病院で指示をうけるかもしれません。
毎日、各運動を1セット10回、3セットずつ行う必要があります。ケガをした脚だけでなく、バランスよく必ず両脚を運動してください。ストレートレッグレイズ(仰向けで股関節を起点に、脚を伸ばしたまま上下させる)を伴うエクササイズでは、足首にウェイトをつける方法もおすすめです。
気持ちよくランニングをしているのに、それでケガをしてしまってはもったいないですよね。そして、そのときに無理をするとケガはさらに深刻な状態になってしまいます。オーバーユース症候群になってしまってはランニングだけではなく日常生活にも支障がでてしまいます。そうならないためにも、この記事で紹介した項目を参考にして、毎日のランニングで気をつけてみてください。