記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
腰痛や背中の痛みが耐えられない場合、整形外科の治療と併せて、鍼治療も考えるとよいでしょう。鍼治療は、はり師の資格をもった人しかできません。鍼灸院や鍼灸接骨院などで行っているところがあるので探してみましょう。
この記事では、特に腰痛に効果があるといわれている鍼治療についてまとめてみました。
鍼治療とは、伝統的な東洋医学に基づいた古来からの治療方法です。細い鍼を体の特定のツボに刺し、体の痛みを和らげたり、症状を改善させたりする効果が期待できます。
体には2,000以上のツボがあります。ツボは経絡という線で繋がれており、「気」というエネルギーの流れを作り出しています。ツボを刺激することで、気の乱れを整えエネルギーの流れを改善すると考えられています。
鍼治療は、体にある気の通り道を刺激することにより、体のエネルギーの流れを調節しようとするものです。
その効果は、中枢神経系を刺激することからくるといわれています。筋肉、脊髄、脳内への化学物質の放出の誘因となっているのかもしれません。
放出された化学物質は痛みを和らげたり、幸福感を増進させたりします。
ある科学者は、鍼治療で、体が天然の痛み止めであるエンドルフィンを放出するため、血流量が増加し、脳活動の変化を促すのではないかと考えています。エンドルフィンは脳内の物質で、痛みの軽減や睡眠の促進する作用があるとされます。
鍼治療の針は非常に細く、ほとんどの人が何も痛みを感じないか、または刺すときにほんのわずかの痛みを感じるくらいです。
治療の後、元気になった、リラックスしたと感じる人が多いようです。ただし、鍼治療の後、一時的なチクチクした痛みが起こることもあるようです。
10人中8人は、一生のうちに一度は腰痛になるといわれ、多くの人が腰痛のために医療機関を受診しています。また、鍼治療を受ける大きな理由としても腰痛が挙げられています。慢性的な腰痛に、鍼治療が効果的である、という研究結果があることは、腰痛患者にとって朗報といえるかもしれません。
鍼治療によって、慢性的な腰痛が短期的に和らいだという結果も報告されています。
また、鍼治療を受けた人は、鍼治療以外の治療法を受けた人と比べ、痛みの緩和効果が大きかったという報告もあります。
通常の治療で効果がみられない慢性腰痛の症状緩和のために、鍼治療が効果がある場合があります。
大規模な研究の1つでは、3ヶ月以上続く慢性的な腰痛に対し、針治療は通常の治療よりも効果があった、という結果を報告しています。急性の腰痛に対しても、鍼治療が効果があるかはわかっていません。
今までみてきたように、鍼治療は腰痛緩和の効果が期待できると考えられます。病院で治療をしても良くならない腰痛がある人は、試してみる価値があるといえるでしょう。
ただし、治療を受ける前に腰痛でかかっている整形外科の医師に相談することをおすすめします。医師によっては、よい鍼灸師を紹介してもらえる場合もあります。また、鍼灸の治療は保険が適用されないことが多いので注意しましょう。
次の記事では、針治療のリスクや副作用、保険適用などをお伝えします。
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鍼治療って、ほんとに恐くないの!?