記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
前回の記事では、腰痛の緩和に効果があるといわれている鍼治療に関して、概要やその効果をお伝えしました。
今回の記事では、腰痛での鍼治療のリスクや副作用、保険適用などをみていきましょう。
経験が豊富で、きちんと訓練を受けたはり師によって施術がなされた場合、鍼治療はほぼ危険はないといわれています。
深刻な副作用が起こることはほとんどありません。腰痛のほかの治療と比較しても、副作用が出ることは少ないといわれています。
鍼治療は、痛み止め薬と共に使われる場合や、マッサージなどの他の療法と組み合わせた場合に痛み止めの効果を高める可能性が示唆されています。そのため、鍼治療は薬の服用を減らしたり、慢性的な痛みのある人の生活の質の向上をもたらす可能性が高いといえるでしょう。
鍼治療は、鎮痛薬やステロイド剤による治療の代替方法になる可能性があります。
また、鍼治療は他の腰痛治療と併用できる補完的医療としても使うことができます。医師と鍼治療の可能性について話し合うとよいでしょう。
出血性疾患の患者や、抗凝血剤を服用している人は、鍼治療により、出血のリスクが高まるかもしれません。
電気鍼はペースメーカー等の電子機器を使ってる人には問題があるかもしれません。妊娠中の人は、医師に鍼治療を受けてもよいか相談してからにしましょう。
病気やひどい痛みを鍼治療だけで治療しようとはせず、従来の治療もきちんと続けて受けることが重要です。
鍼がどうしても怖い場合は、指圧をすることでほぼ同様の効果を得ることができる可能性があります。
指圧はツボを押したりマッサージすることにより、経絡を刺激します。指圧と鍼治療の科学的な比較はあまり行われていませんが、吐き気を抑え、出産の痛みを減らす効果があるという研究結果も示されています。
他の治療では効果がなく、鍼治療を受けることを検討しているのであれば、医師に相談してみましょう。他に服用している薬がある場合は、それも医師に伝えることを忘れないようにしましょう。
また、妊娠や、ペースメーカーを入れている、臓器移植をしているなども、医師に伝えるようにしてください。
医師によっては、はり師の資格のある専門家を紹介してくれる場合もあります。
鍼治療を始める前に、健康保険が対象になっているかどうかを確認しましょう。どれくらいの治療が必要で、おおよそいくらかかるのかについてはり師に聞いてみましょう。
鍼治療を保険の範囲で受けるには、「同意書」や「診断書」が必要です。病状によっては、保険適用できないこともあります。手続きや保険適用については、鍼治療を行う鍼灸院・鍼灸接骨院などにお尋ねください。
ツライ痛みを抑えてくれる鍼治療、効果があるのであれば、ぜひ試したいものです。
記事の中にある注意点をしっかり読んで、医師と相談しながら、鍼治療を受けることをオススメします。