記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/7/21
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
あなたの子供に呼吸が速く咳をしている、または呼吸がガラガラ言っている場合は、もしかすると肺炎かもしれません。子供の肺炎の症状は? 改善できる方法はある? 今回の記事では子供の肺炎について解説します。
肺炎の症状は、子供の年齢や肺炎の原因によって異なりますが、以下のような症状があります。
・熱
・寒気による震え
・咳
・鼻詰まり
・非常に速い呼吸(場合によっては、これが唯一の症状となる)
・ガラガラと音を立てて呼吸する、もしくは息苦しそうな音がする
・呼吸困難
・嘔吐
・胸痛
・腹痛(子供は咳をして呼吸しづらくなるため起こる場合が多い)
・活動が少ない
・食欲不振(年長の子供)または栄養不良(幼児の場合)
・極端な場合、唇と爪が青みがかった、もしくは灰色になる
赤ちゃんの場合、クラミジアによる肺炎によって結膜炎を発症する可能性がありますが、発熱はありません。肺炎が百日咳によるものである場合、子供は長期にわたって咳き込んだり、酸素が足りないために顔色が青くなったり、呼吸するときに「ガラガラ」という音を立てたりすることがあります。
子供が肺炎の兆候や症状を持っている場合、すぐ医師に連絡しましょう。以下のような場合は、特に連絡が必要です。
・呼吸に問題があるか、または呼吸が速くなりすぎている
・爪や唇に青みがかっていたり灰色になっていたりする
・生後6カ月未満の乳児の場合、38°Cまたは38°C以上の発熱がある
肺炎が腹部近くの肺の下のほうで発症する場合、子供は発熱と腹痛もしくは嘔吐があるかもしれませんが、呼吸の問題はありません。症状の中には、どの細菌が肺炎の原因になるかについて重要な手がかりを与えます。たとえば、年長の子供やティーンエージャーの場合、マイコプラズマによる肺炎が、肺炎の通常の症状に加えて、のどの痛み、頭痛、および発疹の原因となることで有名です。
細菌が原因で肺炎になった子供はかなり早く発症し、突然の高熱といつもとは違う速い呼吸から始まります。
ウィルスが原因で肺炎になった子供は、症状が徐々に現れ、それほど重症にならないものの、ゼーゼーとした呼吸(喘鳴といいます)になるのが一般的です。
肺炎の中には、ワクチンによって予防できるものがあります。慢性的な病気を抱える子供の場合、特定の種類の肺炎に特別なリスクがあるため、追加のワクチンや防御免疫療法が必要になることがあります(「慢性的」とは、治療中の病気があるか、治癒しているものの再発の可能性がある病気があることを指します)。インフルエンザワクチンは、特に心臓や肺の機能障害や喘息といった慢性疾患を持つ子供に推奨されています(通常は小さい子供ではワクチンによる免疫がつきづらいのでインフルエンザワクチンの接種は必須ではありませんが、免疫状態が悪いなどリスクの高い児ではインフルエンザを予防する意義が大きいため推奨されています)。
暖かく、湿気を多く含んだ空気を呼吸すると、子供を窒息させてしまう恐れがある粘液が柔らかかくなります。ほかに役立つものとして、以下のようなものがあります。
・子供の鼻と口の上に、暖かく濡れた布を軽くかけましょう。
・加湿器に温水を入れ、子供に暖かい蒸気で呼吸させましょう。
・スチーム加湿器はやけどの原因になるので使用しないようにしましょう。
・肺から粘液を出すために、子供の胸部を1日数回軽くたたきます。これは、子供が横になっているときに行うことができます。
・子供に触れようとするすべての人が、事前に温水と石けんもしくはアルコールベースのハンドクレンザーで手を洗っていることを確認しましょう。
・あなたの子供から、ほかの子供たちを遠ざけましょう。
・家、車、または子供の周辺では絶対にタバコを吸わせないようにしてください。
抗生物質で、ほとんどの子供が肺炎の症状を改善することができます。以下の2点に気をつけましょう。
・用量を間違えない
・子供の体調がよくなっても、薬を飲み切る
熱や痛みのために、アセトアミノフェンやイブプロフェンを使ってよいか、咳止めを使ってよいかどうかなどは、些細なことかもしれませんが医師に確認することをお勧めします。子供によってはイブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬(Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs: NSAIDs)による副作用が強く出る可能性があったり、咳止めは菌の排出を遅らせたりする可能性があるからです。
肺炎は確かに怖い病気ですが、治療法は確立されており過剰に怖がることはないでしょう。早めに治療を開始することが肝心です。