記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
消化不良、予期しない体重減少、貧血、持続的な嘔吐などの症状がみられたら、胃がん検診を考える必要があるでしょう。健康検診などもよいチャンスです。
消化器系のがんの代表の1つである胃がんは、受診するタイミングがわかりにくいので、早めの受診と検診をオススメします。
この記事では、胃がんが疑われた場合の検査と診断についてまとめました。
消化不良、予期しない体重減少、貧血、持続的な嘔吐などが、胃がんの代表的な症状です。この症状がみられたら、できるだけ早く医師の診察を受けましょう。
医師は、あなたの症状について質問し、しこりや痛みがあるかを確認するため、胃を検査します。胃がんが疑われる場合は、より専門性の高い医師を紹介されることがあります。
胃がんの検査では、血液検査と胸部X線検査などで、全体の健康状態を評価します。
検便による検査を行なうこともあります。
胃がんを診断するために使用される主な検査の内容を次にお伝えします。
内視鏡検査とは、内視鏡と呼ばれる装置を使って体の内部を検査することです。内視鏡検査では、手術前4〜8時間は飲食することができません。胃と十二指腸(小腸上部)を空にしておく必要があるためです。
内視鏡検査は麻酔なしで行なわれます、眠気や疲れを癒すために鎮静剤を注射することがあります。局所麻酔薬を喉の後ろに吹き付けることも可能です。
内視鏡は食道管の下を通って胃に入り、胃潰瘍やがんの徴候を確認します。組織にがんの可能性が見られる場合、検査のためにサンプルを採取します。この手順は生検と呼ばれています。
採取したサンプルは、顕微鏡下で検査されます。採取した(細胞)が、がん性(悪性)か非がん性(良性)かを判断します。
この検査は、通常、結果が出るまでに7~10日かかります。
内視鏡検査自体は通常約15分ですが、検査全体には約2時間を要します。
胃の上部にがんの可能性があった場合は、内視鏡検査と同時に超音波スキャンを受けることがあります。この検査は、超音波内視鏡検査として知られており、高周波の音波を使って胃の画像を映します(この方法は、お腹の赤ちゃんを見るためにも使用されます)。
内視鏡超音波検査を受ける際、超音波プローブを内視鏡の端に取り付けてから咽喉を通過させます。この検査により、胃の上部のがんのステージ(後でくわしく述べます)を特定することができます。
内視鏡検査、または内視鏡超音波検査の後は、鎮静剤を使用しているため、数時間は運転することができません。
喉の痛みが残ることもありますが、通常は数日で治ります。
バリウムを飲んでから、胃をX線で映します。胃などの臓器は通常X線には表示されませんが、臓器がバリウムで満たされていると画面に白く表示されます。
胃と十二指腸が空である必要があるため、検査の前に少なくとも6時間は飲食することができません。消化器系の筋肉をリラックスさせるために注射を受けることができます。
バリウムの飲み込みには、通常約15分かかります。その後、通常どおり飲食することができますが、胃からバリウムを洗い出すため、水分をたくさん取る必要があります。
多少気分が優れなくなり、またバリウムが便秘の原因になることがあります。検査後、白い便が数日間続くことがあります。
すべての検査が完了し、検査結果が判明します。胃がんのステージとグレードを知ることができます。
ステージは、がんがどれだけ広がっているかを意味します。胃がんの病期分類にはさまざまな方法があります。
1つの方法としては、0~4の番号付けシステムです。数が多くなるほど、がんが広がっていることになります。
グレードは、がんが将来どのくらい広がる可能性があるかを示したものです。胃がんには4つのグレードがあります。癌細胞の分化度、悪性度から分類します。
胃の調子が悪い場合、まずは、胃腸科や内科などを受診し、検査を受けましょう。また、地域や会社の健康診断の機会は逃さず、受けるようにすることも大切です。胃がんは進行すると治癒が難しい場合も多いです。定期的な検査で早期発見に努めることが、あなたの身を守ることにつながるでしょう。